防衛省が「宇宙領域防衛指針」公表、人工衛星の防護万全に…中露のキラー衛星開発で「戦闘領域化が進展」

防衛省は28日、宇宙での防衛能力強化の方向性を示すために初めて策定した「宇宙領域防衛指針」を公表した。自衛隊が運用する人工衛星の防護を万全にするとともに、民間企業による安全な宇宙利用を確保する方針を明記した。
民間技術を防衛能力の強化に取り込み、官民連携で宇宙領域の安全保障の構築を目指す。
指針は、中国とロシア両国などが他国の衛星を攻撃する「衛星攻撃衛星(キラー衛星)」の開発を進め、「宇宙の戦闘領域化が進展」していると警鐘を鳴らした。
厳しさを増す宇宙の安保環境を踏まえ、自衛隊を含む政府に加え、日本に関連する民間企業の人工衛星などの安全な運用に向けた防衛能力を強化する必要性を唱えた。
防衛強化の柱として、他国の衛星の運用状況や意図・能力を把握する「宇宙領域把握(SDA)」能力の向上を掲げた。キラー衛星や対衛星兵器といった脅威の兆候を探知し、日本の人工衛星を防護する能力を構築する計画だ。
相手国が発射したミサイルの探知・追尾を含む戦況把握や、自衛隊内で戦況を共有するための衛星通信の安定的な確保も挙げた。相手国の情報通信を妨害する能力も高める。
こうした取り組みを支えるため、「商用サービスが著しく進展」している民間の革新的な技術の積極的な活用も盛り込んだ。宇宙分野に精通した人材の育成も打ち出し、外部人材の登用や防衛省・自衛隊内での教育を促進するとした。