水俣病「遺伝する」と誤情報配信の「家庭教師のトライ」社員ら、資料館訪れ背景と歴史学ぶ

「家庭教師のトライ」を運営するトライグループ(東京)がオンライン教材で「水俣病は遺伝する」との誤情報を配信した問題を巡り、同社の社員らが3日、熊本県水俣市の市立水俣病資料館などを訪問し、水俣病問題の背景と歴史を学んだ。4日は、民間団体が運営する水俣病歴史考証館や胎児性患者らでつくる団体の事務所などを訪れ、研修を行う。
資料館では社員ら6人が見学。「水俣・差別偏見を考える会」の吉永利夫さん(74)の案内で、原因企業チッソの経済を優先してメチル水銀を含んだ工場排水を止めなかったことや、被害の申請で住民が分断された経緯などの知見を得た。
環境省の水俣病情報センターも訪れ、水俣や天草周辺の地図で汚染の広がりを学習。水俣病は、母親の胎盤からメチル水銀を取り込んで発症した胎児性患者がいるが、遺伝はしない。こうした実像も改めて確認した。写真家の芥川仁さんや桑原史成さんらが撮った被害者の写真にも見入った。
同社執行役員の楠瀬大吾氏は「子どもたちにどう伝えるべきなのか勉強になった」と感想。読売新聞の取材に「学んだことをどのように教材に生かすのか考えたい」と答えた。吉永さんは「最後まで真剣に聞いてくれ、ちゃんと向き合う気持ちを感じた」と話した。
楠瀬氏ら2人は6月、同市で関係者に謝罪。新たな教材づくりに向け、勉強会を開く方針を示していた。