大川原化工機の捜査巡り警察当局が当時の幹部ら処分へ 指揮系統機能せず…近く報告書公表

精密機械製造会社「大川原化工機」(横浜市)社長らの逮捕・起訴を違法とした東京高裁判決が確定したことを受けて、警視庁が当時の捜査を巡り、指揮系統が機能していなかったなどとする検証結果をまとめたことが4日、関係者への取材で分かった。近く、報告書を公表する方針で、警察当局は当時の幹部ら関係者の処分についても検討している。
都と国に計約1億6600万円の賠償を命じた判決が6月に確定。警視庁は副総監をトップに、捜査を担当した公安部や内部の監察を担当する警務部が主体となり、捜査の問題点を洗い出す「検証チーム」を立ち上げていた。
関係者によると、検証では当時の公安部幹部を含む約40人に聞き取りを実施。捜査の過程で消極的な証拠の共有がなされず、幹部らによる指揮や、適正性のチェックが機能していなかったなどと結論付けたとみられる。警察当局の処分対象者には警察庁のキャリアも含まれ、退職者の責任追及も検討している。
再発防止策として、捜査の監督・指導態勢をさらに強化。重要事件で公安部長をトップとする捜査会議を設置することなどを検討している。
警察庁は、不正輸出などの外為法違反容疑事件の捜査について、取り調べの録音・録画(可視化)を実施するよう全国の警察に指示する見通し。
報告書は東京都公安委員会の意見なども踏まえて最終決定し、週内にも再発防止策と併せて公表する。東京地検による起訴を巡っては、最高検が検証結果を取りまとめる。