暴力団員を中心とするグループが逮捕・起訴された北海道小樽市沖のナマコ密漁事件を巡り、密漁品と知りながらナマコを買い受けたとして、小樽海上保安部が札幌市の男を漁業法違反容疑で札幌地検小樽支部に書類送検したことが分かった。水産資源の密漁事件で「買い取り役」まで立件されるのは異例。同保安部は今回の密漁が組織的に行われ、利益の一部が暴力団の活動資金になったとみている。
捜査関係者によると、男は5月7日頃、自称稲川会系暴力団組員(33)(漁業法違反で公判中)らのグループと共謀し、500キロ超のナマコを密漁品と把握した上で購入した疑い。男も任意の取り調べに容疑を認めている。
同保安部は5月11日、小樽市桃内の沖合で10日夜にナマコ約485・5キロを密漁したとする容疑で暴力団組員の被告ら8人を現行犯逮捕。その後の捜査でグループが6~7日にも密漁を実行し、男に買い取らせていた疑いが浮上した。男と被告は知人同士で、男の勤務先の倉庫がナマコの保管場所に使われていたという。
暴力団組員の被告らの公判は札幌地裁小樽支部で始まっており、検察側は「グループの結成は遅くとも昨年6月頃だった」と説明。グループの内部では、潜ってナマコを捕る「潜手」や捜査当局を警戒する「陸回り」などの役割が取り決められていたとも指摘している。