かつて「伝説の学習参考書」と呼ばれた名著をご存じだろうか。1976年に初版が発行され、多くの受験生のバイブルとして版を重ね続けてきた『大学への世界史の要点』である。
作家の佐藤優氏が40年以上、たえず読み返してきた「座右の書」であり「最高の基本書」であり「伝説の学習参考書」であるこの名著が、読みやすく完全リライトのうえ、最新情報も加筆されて『いっきに学び直す世界史 第1巻【西洋史 古代・中世】〈世界の原点を学ぶ教養編〉』『いっきに学び直す世界史 第2巻【西洋史 近世・近代】〈現代世界の源流がわかる知識編〉』として生まれ変わった。
特長は、リニューアル復刊にあたって、「歴史の動き」がわかり「通史」が身につくように「ストーリー」を重視して書き直されていること。執筆者が全編チェックし、「半世紀の歴史学の成果」を反映して「最新の内容」を盛り込んでいることだ。
本連載では、同書の執筆を担当した市川中学校・市川高等学校教諭の馬場晴美氏が、「終戦の日」について解説する。
「終戦記念日」はいつ定められたのか
8月15日、今年も終戦記念日をむかえました。
【話題の書】作家の佐藤優氏が40年以上、たえず読み返してきた「伝説の学習参考書」が新登場してベストセラーになっている『いっきに学び直す世界史』
毎年8月が近づくと戦争をテーマとした特集がさまざまなメディアで報道され、今年は戦後80年ということで新聞・書籍やテレビ等でも多く取り上げられています。
しかし、15日を過ぎるとその流れがいっきに収束し、9月になるとほとんど報道されなくなるのが例年の流れです。
たしかに80年前の1945年8月15日の正午、昭和天皇の玉音放送によって日本の降伏が国民に伝えられました。
このことから、8月15日を「日本が戦争をやめた日」として記憶するのは当然の流れです。
しかし、国際的に見るとこの解釈は少し異なります。
ミズーリ号で降伏文書が調印された9月2日もしくは翌日の9月3日を終戦記念日(戦勝記念日)と捉えることが一般的なのです。
では、日本ではいつから8月15日の「終戦記念日」が定められたのでしょうか。
もちろん慰霊や戦争をふりかえることの本質は、日付の問題ではありません。この記事の趣旨も8月15日を変えたいというものではありません。
しかし戦後80年を迎え、直接経験した人が少なくなった今だからこそ、これからも「戦後」を積み重ねていくために必要な「慰霊」について、この8月15日を機に考えたいと思います。
各国における対日戦勝記念日