ロシア・カムチャツカ半島沖の千島海溝で発生したマグニチュード(M)8・8の地震発生から30日で1カ月となった。千島海溝を震源とする巨大地震は北海道・東北地方を中心に大きな被害が想定されており、気象庁は南海トラフ地震臨時情報の「巨大地震注意」に相当する「北海道・三陸沖後発地震注意情報」を運用するが、浸透していないのが現状。昨夏に出された臨時情報を巡っては混乱が生じた経緯があり、注意情報の適切な理解が課題となる。
注意情報は、北海道沖の同海溝および三陸沖付近の日本海溝北部沿いで巨大地震の発生を想定し、令和4年12月に導入された。千島海溝沿いでは、北海道の沿岸で行われた津波堆積物の調査により、約340~380年間隔でM8・8程度以上の地震が起きていたことが判明。最新事例は17世紀で、切迫した状況とされる。
39%が「知らない」
このため地域防災上、注意情報は重要な役割を担う。一方、昨年12月に関西大などが実施した北海道内の20~60代の男女計約1800人を対象とする調査では、39%が注意情報を「知らない」と回答。具体的な内容を知らない人も合わせると7割を超えた。昨年8月には初の臨時情報が発表されたが、その前に実施した調査とほぼ同じ結果という。同大の林能成教授(地震防災)は「(南海トラフから)離れているため、(注意情報への)関心が高まらなかったようだ」と指摘する。
注意情報は地震予知ではなく、M8級以上の巨大地震が後発する可能性が平時よりも相対的に高まったとして、地域住民らに備えの再確認を促すものだ。防災対応の呼びかけは、先発地震の発生から7日間で終了する。
基準はM7・0
発表される条件は、想定震源域でM7・0以上の地震が起きた場合▽想定震源域の外側を震源としたM7・0以上の地震が起き、想定震源域に影響を与えると判断された場合-のいずれかだ。
M7・0を基準とする背景には過去の事例がある。政府によると、両海溝沿いでは平成29年までの113年間に4%程度の確率で、M7級以上の先発地震が発生後7日以内にM8級以上の後発地震が起きている。日本海溝沿いで23年に起きた東日本大震災(M9・0)は、震源付近でM7・3の地震が起きた2日後に発生した。
昨夏に臨時情報が初めて発表された際には、各地で混乱が生じた。林教授は注意情報について、「南海トラフ地震と比べて取り上げられる機会が少なく、関心は低くなる。あらかじめ詳しく説明しておかないと、昨年夏と同じような状況となりかねない」と警鐘を鳴らしている。(小野晋史)