読売新聞は30日、東京地検特捜部の捜査対象者を取り違えた誤報について、担当記者の思い込みが原因だったとする検証結果を明らかにした。記事化に向けてマイナス情報が軽視され、社内のチェック機能も働いていなかったとして、編集役員や担当記者らを処分する。
誤報があったのは27日付朝刊の1面記事。日本維新の会の池下卓衆院議員の元公設秘書の給与を巡って特捜部が捜査していると報じた。しかし、実際に強制捜査を受けたのは、同じ日本維新の会の石井章参院議員だった。
30日付朝刊に掲載された検証結果によると、担当記者は特捜部が政治家を捜査しているとの情報をつかみ、対象者が池下議員だとの感触を得たが、確認が不足していた。複数の関係者への取材でも、対象者を明確にできる結果は掲載まで得られていなかったとした。
このため、読売新聞東京本社は9月5日付で関係者を処分する。前木理一郎・専務取締役編集担当は役員報酬、滝鼻太郎・執行役員編集局長は給与を、それぞれ2カ月30%を返上し、小林篤子社会部長を更迭。当日の編集責任者だった編集局デスクはけん責、社会部のデスク、司法記者クラブキャップ、担当記者はいずれも出勤停止7日にするとした。【山田豊】