鈴木法相は29日、外国人の受け入れ人数に一定の上限を設ける是非について検討に乗り出すと表明した。同日、出入国在留管理庁にプロジェクトチームを設置し、本格的な議論を始めた。
政府は、人手不足の分野で外国人を受け入れる「特定技能」や「育成就労」の在留資格を除き、受け入れ人数に上限を設けていない。現在、国内の外国人比率は人口の2・8%で、人口減少や在留外国人数の増加によって将来的に10%を超えると推計されている。
鈴木氏が29日に公表した論点整理によると、従来は外国人の受け入れに一貫した方針がなく、「中長期的に外国人が社会に与える影響や課題とどう向き合うか、精緻(せいち)な議論を開始する時期に来ている」と指摘した。
上限設定の方法については、「外国人の極端な増加により、社会との摩擦が許容度を超える兆候が見えた場合に、時限的に受け入れ制限を行う」ことなどを例に挙げた。
論点整理では、経済成長や税・社会保障、治安などの「複数の観点から中長期かつ多角的な検討」が必要とも指摘した。鈴木氏は同日の記者会見で「諸外国でも社会統合には大変苦労している。早めに対応を考えておくべきだ」と強調した。