消防職員パワハラ訴訟、腕立て100回強要や「殺す」「死ね」などの暴言で懲戒免職は妥当…最高裁

福岡県糸島市消防本部で2017年、部下へのパワハラを理由に懲戒処分を受けた元消防職員ら2人が処分の取り消しなどを求めた2件の訴訟の上告審判決で、最高裁第3小法廷(石兼公博裁判長)は2日、処分を取り消した2審・福岡高裁判決を破棄し、原告側の請求を棄却した。元職員らの敗訴が確定した。
問題となったのは17年3月の処分。係長だった元職員は03~16年、部下10人に対し、熱中症になるまで訓練を繰り返して意識不明にさせたり、訓練を受けなかったペナルティーで腕立て伏せを100回強いたりしたほか、「殺す」「死ね」と暴言を吐いたなどとして懲戒免職となった。元係長の部下だった職員も11~12年、新人の部下を宙づりにして懸垂させたなどとして停職6か月となった。
1審・福岡地裁判決と2審判決は、2人に懲戒処分歴がなかったことなどから、処分は重すぎるとして取り消した。これに対し、同小法廷は2人の行為を「指導の範ちゅうを大きく逸脱した不適切な言動だ」と指摘。緊密な意思疎通が重要な消防組織において「甚だしく職場環境を害すもので看過できない」などとし、処分は妥当だと結論付けた。