辞任の石破茂首相、未練ワード連発「心残り」「道半ば」「最大の心残り…」

石破茂首相(自民党総裁)は7日、官邸で会見し、辞任する考えを表明した。一方で「心残り」「道半ば」など、首相への未練をのぞかせる言葉も連発した。
会見冒頭で「急なご案内で誠に恐縮であります。この度、私は自由民主党総裁の職を辞することといたしました」と報告。「米国関税措置に関する交渉にひとつの区切りがついた今こそが、そのしかるべくタイミングであると、このように考え、後進に道を譲る決断を致しました。新しい総裁が選ばれるまでの間、国民の皆さま方に対して、果たすべき責任を着実に果たし、新しい総裁総理にその先を託したいと思っております」と説明した。
その上で、政府提出の法案が68本中67本、条約は13本すべてが成立したことや、低所得者給付金や「103万円の壁」の引き上げ、被災地避難所の生活環境の改善など、実績を積み重ねてきたことを強調した。
一方、米国やアジア諸国との外交問題に関する対応について触れた場面では「この外交にお力添えいただいた多くの皆さまに本当に心から熱く御礼を申し上げる次第でございます」としながらも「しかしながら、昨年9月に自由民主党総裁に選んでいただいた時の多くの方々のご期待に応えることができたかとそのように自問するとき、本当に忸怩(じくじ)たる思いがございます」と述べた。
続けて、石破氏が持論とする、東京一極集中の脱却と地方創生の強化に言及した際は「もっと大胆で強力な取り組みが必要であると、その思いを強くしておったところであり、これは残念ながら、道半ばであると言わざるを得ません」と無念さをあらわにした。
さらに「区切りがついた」と認めた米国との関税交渉についても、「礎ができたものと確信をしておりますが、これで決着ではありません。これから合意の実施を確保すること。そして新たな懸念が生ずれば、それに対応していくことが必要であります」とした上で「私どもの政権とトランプ政権との信頼関係のもとで成り立った合意でございますので、私どもの政権において、その責任を全うすべきでありましたが、このような形になったことは、実に心残りであります」と語った。
自民党の政治改革についても、総裁として政策活動費の廃止などを行ったことに言及。「それでもなお、政治と金の問題をはじめ、国民の皆様方の政治に対する不信を払拭することはいまだにできておりません。このことは私にとって最大の心残りであります」と悔しさをあらわにし、「我が自由民主党はけじめをつけなければなりません」と説明した。その上で「私としてはまだやり遂げなければならないことがあるという思いもある中、身を引くという苦渋の決断をいたしました」と胸中を吐露した。
◆石破茂(いしば・しげる)慶大卒。銀行員を経て86年に衆院初当選。93年に自民党を離党し97年に復党した。防衛相、農相、党幹事長、地方創生担当相などを歴任し、24年10月に首相就任。68歳。鳥取1区、当選13回。