“女安倍”高市氏に防衛省制服組が“ただならぬ警戒感”「台湾有事が現実に」「独自の国家観をもつ軍事フリークは面倒」、進次郎氏を推す意外な声も「実力不足の方がいい」

「戦争しないでくださいって言っても、どこかの国が何かを考えたら始まってしまう側面がある」──総裁選を前に防衛省内で上がるのは、”あの右派候補”を懸念する声だ。
メディア各社の調査では高市早苗前経済安保相と小泉進次郎農水相がトップを競り合っている情勢だが、なかでも注目なのが、前回の総裁選で石破氏と決選投票を競い、僅差で敗れた高市氏。史上最長の政権を築いた安倍晋三元首相の後継者を自認し、国民人気も高い高市氏を「宰相の最有力候補」と評する向きもある。
中国、北朝鮮への強硬姿勢で知られる高市氏だが、右派色が濃厚な「高市新首相」の誕生に、防衛省内に漂うのは歓迎ムードとは真逆の警戒感だ。「台湾有事」が現実味を帯びる中、有事となれば最前線に立たされる彼らの間で、「高市だけはゴメンだ!」という悲痛な声が相次いでいるのだ。
一方、経験不足も指摘されるライバルの進次郎氏には意外な好評価も。国の行く末を占う総裁選を見る「防人」の心中は──。
高市氏の強気すぎる外交政策
「外交の方向性ということについて、日本がもう一度世界の真ん中で、咲き誇る日本外交を取り戻す時にきているし、そうしなければならない」
9月24日、日本記者クラブ主催による公開討論会で、高市氏はこう述べた。「世界の真ん中」「咲き誇る」というフレーズからは、高市氏が「路線継承」を公言してはばからない安倍元首相の影響がうかがえる。
一方で、靖国神社の参拝について考えを問われ、「いかに戦没者を慰霊するか、平和を祈るかということについては、これは適切に判断しなければいけない」と述べるにとどめた。前回の総裁選では、参拝を明言し、国内外で物議を醸したが、今回は意図的に保守色を薄めた形だ。
しかし、防衛政策について語る場面では、その思惑が透けるような発言も繰り返している。9月19日の出馬会見では、「防衛力の裏付けのない外交は弱い」と語り、研究開発費や新たな装備品の調達など、「費用をしっかりと積み上げて、絶対に日本の領土と国民を守り抜く」と力強く語り、国力強化の方針を明示した。
こうした発言は、すでに近隣国を刺激している。
中国、北朝鮮と歩調を合わせることの多い韓国でも高市氏への警戒感は高く、韓国紙「朝鮮日報」は高市氏について、故安倍晋三元首相に近い保守強硬派の「女安倍」と紹介しているほどだ。
しかし、こうした声は意外にも高市氏にとっては「身内」であるはずの「防衛族」の議員や官僚らからも漏れ聞こえてくる。