東急電鉄田園都市線の梶が谷駅(川崎市高津区)で5日夜に発生した列車同士の衝突・脱線事故を受け、東急電鉄は7日、東京都内で記者会見を開いた。同駅の信号システムの設定ミスで、自動列車制御装置(ATC)がホームに進入してきた上り列車に誤って緑信号を出していたことを明らかにした。設定ミスは約10年前から続いていたという。
会見で、福田誠一社長は「大変多くのお客様に迷惑と心配をかけた。深くおわびします」と謝罪。再発防止策を徹底すると述べた。
事故は5日午後11時5分頃に起きた。同駅の留置線に停止していた回送列車に、ホームに進入しようとした上り列車が衝突し、回送列車の最後尾車両が脱線した。
東急電鉄によると、留置線を走行中の回送列車は、速度超過によるオーバーランを防止する信号を受信して、所定の位置より手前で停止。回送列車の最後尾車両は上り列車の進路に残った状態だったという。
上り列車には本来、ATCが稼働して「停止」を意味する赤信号が伝わるはずだったが、信号システムの設定ミスにより、「進行」を意味する緑信号が伝わっていた。そのため上り列車は走行を続け、時速48キロで回送列車に衝突した。
設定ミスは、信号システムを改修した2015年3月から続いていたという。東急電鉄は今後、梶が谷駅と線路の形状が似ている約30駅についても、設定ミスがないか確認を進めていく。
今回の事故後、田園都市線などは一部区間で7日午前0時まで計約1100本が運休し、約65万人に影響が出た。
中野国土交通相は7日の閣議後記者会見で、「輸送の安全確保は鉄道事業者にとって最も重要な使命。安全安定輸送に向けた必要な指導を行う」と話した。