今治沖の貨物船沈没、無線連絡せずに針路変更が原因か…運輸安全委が調査報告書

愛媛県今治市沖で2021年に外国籍タンカーと衝突した貨物船「白虎」が沈没して乗組員3人が死亡した事故で、運輸安全委員会は30日午前、白虎側が必要な無線連絡をせずに針路変更したことなどが事故原因とみられるとする調査報告書を公表した。
報告書によると、21年5月、同市沖の来島(くるしま)海峡付近で白虎(1万1454トン)とマーシャル諸島船籍のタンカー「ULSAN(ウルサン)PIONEER(パイオニア)」(2696トン)が衝突し、白虎が沈没した。事故現場は潮の流れに応じて航行ルートが変わる特殊な海域だったという。
白虎の航海士は、針路変更をする際に必要な無線連絡をタンカー側にせずに針路変更していた。白虎が急接近してきて混乱が生じたタンカーでは、船長と航海士の意思疎通が図れず、白虎側に伝えた方角とは別方向に操船が行われて衝突した可能性が高いとした。
白虎の航海士は事故前、衝突回避のために航行シミュレーションを行ったが、算出された危険性に関する数値の意味を正確に理解していなかったとみられるとも指摘した。事故を巡っては白虎の航海士が業務上過失往来危険罪などに問われ、1、2審で有罪判決を受けている。