住宅街の迷惑な“放置車両”ナンバーも付いているのになぜ?所有者はどこに…冬季は除排雪の邪魔、行政も警察も手が出せない理由

皆さんの疑問や地域の問題を調査する『もんすけ調査隊』。今回は札幌市内の閑静な住宅街に放置された車が、なぜ撤去されないのか調査しました。
◆調査依頼(札幌の『しょうご』さん・40代) 「なぜ放置されているのか?事件性があるのか?ナンバーも付いているので、持ち主もわかると思うので」
その現場は、札幌市白石区の市道にあった。公園や墓地、幼稚園に隣接する生活道路…。人気ユーチューバーの”札幌の『しょうご』”さんが動画配信のため、マチを歩く中、発見したという。
依頼者(札幌の『しょうご』さん・40代)「あそこに1台、軽自動車が停まっているのですが、あれが長期間放置されている車両です。最初に見た時は、バンパーも付いていたし、徐々に荒れている感じになった」
ここに放置されて、すでに1年半ほど。今年3月に車検が切れ、時が経つにつれ、車体は無残な姿に…。ナンバーは付いたまま…警察署の“警告文”も貼られているのだが…。
依頼者(札幌の『しょうご』さん・40代)「警察も放置を把握していると思う」
この放置車両…近隣の住民にとっても、厄介この上ない存在だ。
札幌市白石区旭町内会 山中忠典会長「去年の春先からずっと放置されており、今年の春に我慢しきれず、土木センターと白石警察署に撤去をお願いしたが、簡単にはいかないと」
冬季は除排雪作業の邪魔に
そして、間もなく訪れる冬になれば、さらに困った事態に…。
札幌市白石区旭町内会 山中忠典会長「特に冬になると除雪・排雪をしなければならない。車両が非常に邪魔になる」
住民を悩ます、放置車両の問題…。過去には、放置車両への放火なども発生している。
調査を進めると、問題は全国各地に…。
まるで“車の墓場”放置車両30台超
今年2月、東京では、驚くような光景が…。江東区新木場の道路には、30台を超える放置車両が―。まるで“車の墓場”のような有りさまだ。
乗り捨てられ、長期間にわたって、留め置かれたままのクルマ。いったい、なぜ高価なクルマが、至るところに、放置され続けるのか。
無許可で撤去が“器物損壊罪”に問われる恐れも
桶谷法律事務所 長崎拓也弁護士「車両の修理費用や処分費用を「支払えない」、あるいは「支払いたくない」という理由で放置しているケースがかなりあると思う」
修理代や車検の費用を支払うことを避けるため、ごみを投げ捨てるように、クルマを置き去りする…。これまでも、たびたび問題になってきたのだが、なぜ撤去は進まないのか。
桶谷法律事務所 長崎拓也弁護士「放置車両であっても、所有者が所有権を持つ『財産』であり、誰かが勝手に処分することは基本的に許されない」
個人の“財産権”を侵害する懸念から、簡単には撤去できないという。
持ち主の許可なく動かせば、器物損壊罪などに問われる可能性さえあるのだ。打つ手はないのだろうか?
札幌市道路管理課 東田浩志課長「『所有者が判明し、車両としての経済的価値があるもの』は警察が、『所有者が不明で車としての価値がないもの』は、道路の管理者が対応するという流れになっている」
道警によると、公道に放置された車は、警察が持ち主を特定。違反金や反則金を徴収し、車の移動を促している。
私有地の場合、警察は原則関与せず
ただ、警察の説得に応じず、長期化することもある。また、駐車場など、私有地が現場の場合、警察は原則として関与しない。
札幌市道路管理課 東田浩志課長「『なぜ早く撤去してくれないのか』ということと、『適正な手続きを経なければ撤去できない』ところで、ギャップが生じることにジレンマはある」「違法車両を税金で撤去しなければならない。所有者として最低限の責任は果たしてほしい」
札幌市は、持ち主不明で、価値のない車に限って対応しているが、最低でも撤去には、2か月はかかると話す。
間近に雪のシーズンが控える中、除雪の妨げにもなる放置車両。地域の安全や暮らしに関わるだけに、従来の解決策以外に手立てはないのか。
桶谷法律事務所 長崎拓也弁護士「住民が深刻な被害を受けている、あるいは不安を感じている状況があるなら、放置車両の撤去に関する特別な条例を自治体が定めるなど、法制度からの改善を検討することも必要かもしれません」
まるで“ごみ捨て場”のごとく、公道や駐車スペースに、クルマを放置する行為。単なる迷惑では済まされない事態が、多くのマチを悩ませている。
釧路市では放置車両に罰金の条例
◆調査結果 調査結果です。マチ中に放置されている車は、財産権で保護されているため、撤去までに長い期間がかかるということです。ちなみに白石区の放置車両は警察が対応中だそうです。
釧路市では既に、放置自動車に関する条例が制定されています。
◆釧路市の放置自動車条例 公共の場所に放置された車に対して市が撤去命令を出し、従わない場合は20万円以下の罰金が科されます。
また、調査のために車内確認や鍵の解除も可能で、市民や事業者にも通報や予防の協力が求められ、違反者には最大5万円の罰金が課されることもあるということです。
これから冬が来ると、多くの人に迷惑をかけるので、絶対に自動車の放置は止めましょう。