「バダルさんのことも、その恋人(浅香容疑者)のこともよく知っていましたし、2人が付き合っていることも知っていました」──そう明かしたのは、船橋市内のホテルで殺害されたとみられるネパール国籍のチャンタール・バダルさん(21)と、彼を刺殺した疑いがかけられている浅香真美容疑者(32)の同僚である日本人女性だ。
「だからこそ、幸せそうにしていた2人の関係が突然殺人事件に発展したと聞き、最初は信じられなくて……。工場の同僚はみんなショックで落ち込み、仕事が手につかないのが現状です」
千葉県警は10月28日、浅香容疑者を殺人容疑で再逮捕したと発表。バダルさんの兄によると、犯行は遺体に数十か所の刺し傷があり、凄惨な犯行がうかがわれた。
日本での生活に憧れて昨年ネパールから来日したバダルさんと、浅香容疑者が知り合ったのは千葉県内にある工場でのアルバイト。日本語学校に通っていたバダルさんは学費や生活費を稼ぐために船橋駅近くの居酒屋と掛け持ちで働いており、工場は夜勤だった。
一方、千葉市稲毛区の”上品な家庭”の一軒家から仕事に通っていたという浅香容疑者。小柄でおとなしそうな印象だったと近隣住民らは口を揃えるが、惨い犯行態様と対照的なイメージだ。
冒頭の2人と同じ職場で働いていた女性が、犯行直前の浅香容疑者の姿を振り返る。
「事件が起こる1か月ほど前に浅香さんと夜勤で一緒になった際、『バダルさんと同棲しようと思っているの』と嬉しそうに話していました。隠すような素振りもせずに友達に話していたので、ほかの同僚の多くも知っているはずです。
私が最後に浅香さんと話したのは、事件が起きる3日前でしたが、特別思い詰めたような様子もなかったし、普段と変わりませんでした。だから殺人事件と聞いて工場中が大変ショックを受け、驚いています。『何があったの? だって同棲するって言っていたでしょ?』って彼女に聞きたいです。本当に残念です」
バダルさんの兄は弟について「ハンサムで優しい自慢の弟だった」と語り、人気者だったと振り返る。兄弟はTikTokで一緒にふざけて笑い合う動画を撮るほど仲が良く、なかには皮肉にも「日本人の彼女ができた」「デートだからお小遣い頂戴」という弟を、兄がいじる動画も投稿されていた。
悲しみとは一切無縁だったはずの兄は事件後、「もし来世があるなら、俺はまたお前の兄弟として生まれたい」「神様でさえ夜には寄り添う相手が必要なんだ」と、ネパール語で苦しい胸のうちを明かす動画を最後に、更新していない。