国土交通省 神戸運輸監理部は、兵庫陸運部が六甲山ビジターセンターで実施した夜間街頭検査の内容を発表しました。6台の不正改造車に整備命令書を交付したといいます。
■「六甲山の走り屋」をその場で検挙
国土交通省 神戸運輸監理部は2025年11月4日、兵庫陸運部が六甲山ビジターセンターで実施した夜間街頭検査の内容を公表しました。
7台の車両を検査し、6台の不正改造車に整備命令書を交付したといいます。
日本国内でナンバープレートを装着して公道を走行する場合、一定の安全・環境基準を定めた「保安基準(道路運送車両の保安基準)」に適合する必要があります。
しかし、装置の取り付けや取り外し、改造などを行うと保安基準に適合しなくなり、「不正改造車」とみなされ、違法となります。さらに、周囲の交通や近隣住民に迷惑を及ぼすこともあります。
不正改造の一例では、例えばマフラー(消音装置)の取り外しやサスペンションの改造、大型ウイングなどの取り付け、ライトの色の変更、タイヤやホイールなどの露出などがあります。
マフラーを取り外したり(いわゆる「直管」)、競技用など基準を満たさないものを取り付けると、始動・走行時に爆音が響き渡り、近隣の大迷惑になります。
サスペンションを改造したり、競技用の部品を取り付けて車高を極度に落とす(いわゆる「シャコタン」)ことは、保安基準の最低地上高9cmを切ることがあります。そうすると路面と接触して車両故障を招いたり、火花を発生させて火災を招く恐れも。
また車体幅以上のウイングやスポイラーなどは、交差点や路地で歩行者や自転車などに当たってケガをさせたり、取り付けが不十分であれば走行中に外れて事故になることもあります。
ライトの色や光り方の変更は、クルマが進んでいるのか停まっているのかが夜間にわからず事故を招いたり、タイヤをはみ出させて回転部分を露出(ハミタイ)させると、歩行者を巻き込む可能性があり、非常に危険です。
こうした改造の事例は、すべて保安基準適用外です。
しかし、現在も不正改造はなくなっていません。個人が好き勝手に改造していることも多いですが、なかには不正改造車のグループをつくり、群れて行動している輩も多くいます。
特に「暴走族」(珍走団)や「旧車會」、「ドリフト族」「走り屋」「ルーレット族」「環状族」などは、不正改造車で迷惑走行するだけに留まらず、夜間の高速のSA/PAや道の駅などに集結し、空ぶかしやドリフトなどを行って、近隣や一般利用者に多大な迷惑を及ぼしています。
兵庫県内では六甲山の周辺や、裏六甲ドライブウェイ、芦有ドライブウェイ、坂の辻峠などが走り屋やドリフト族の出没スポットとなっており、金曜日の夜間などに集結してはレースまがいの走行や横滑り走行を行って周辺住民を恐怖に陥れ、多大な危険を与えています。
走り屋やドリフト族が操縦ミスをしたことによる事故もあり、迷惑走行どころか主要な道路ネットワークの寸断という大きな打撃も発生させています。
さて、今回国土交通省 神戸運輸監理部 兵庫陸運部は、自動車技術総合機構関東検査部と連携し、兵庫県警とともに六甲山ビジターセンターで検問を実施。
検査は2025年11月1日の22時から翌2日の1時にかけて実施。クルマ7台に対し、不正改造がないかを調べました。すると6台で不正改造が見つかったといいます。
添付されている写真には、車高を下げた黒いスポーツカーや騒音の検査を受ける旧車のハッチバック車などが検査されています。主に見つかった不正改造は、騒音規制値オーバーや回転部分突出(ハミタイ)だったということです。
この6台にはその場で検挙され、「整備命令書」が交付されます。
整備命令書とは「15日以内に、保安基準に適合するようにクルマを直して見せに来なさい」という内容の文書で、クルマの所有者はすぐに修理して保安基準に適合させたうえ、最寄りの陸運局などに持っていき、直接の確認を受ける必要があります。
兵庫陸運部は「静かな六甲山に、騒音はいらない!」とわざわざ赤字で記載するほど怒り心頭の様子で、「兵庫陸運部では、不正改造車の排除に向けた取組みを実施しております。不正改造は見逃しません!」と、不正改造車の撲滅を目指す構えです。