「怒羅権」創設メンバーに懲役13年実刑判決 メディア出演で更生アピールも裁判長断罪

準暴力団「怒羅権」の創設メンバーで強盗致傷などの罪に問われた汪楠被告の裁判員裁判で東京地裁は5日、懲役13年の実刑判決を言い渡した。
起訴状などによると、2023年3月に都内のマンションの一室にガスの点検作業員を装い、複数人の男が侵入。室内にいた中国人の男女2人を結束バンドで緊縛し、現金やノートパソコンなどを奪った。その過程で犯行グループのモンゴル人1人が被害者の反撃によって死亡した。犯行グループの携帯電話を調べるなかで汪被告が指示役として浮上。起訴内容について汪被告は取り調べ中の公務執行妨害については認めたが、指示役については「無罪。まったく関係ない」と否認していた。
「怒羅権」は中国残留孤児の2世や3世らから成る準暴力団で汪被告は創設メンバー。2000年に詐欺罪などで逮捕され懲役13年の実刑判決を受け服役。出所後はNPO法人「ほんにかえるプロジェクト」を立ち上げ、受刑者の支援活動を行っていた。メディアにも多数出演し、自身の壮絶な半生を記した著書も出版していた。
入廷した汪被告は白髪混じりの頭にメガネをかけ柔和な表情を浮かべていた。しかし13年の判決を言い渡されると姿勢が乱れ、不服そうな様子がうかがわれた。争点の共謀について裁判長は「役割分担をした組織的かつ計画的な犯行。ガス点検のチラシや名刺を作成し、(犯行グループと)頻繁に連絡を取るなど主導する立場にあり、共犯者の中でも最も罪が重い。反省の態度も見られない」と断罪した。
審理の中で汪被告は「巧妙な犯罪が好き。自分が指示役だったらこんな荒っぽいことはしない。計画を緻密に立てたと思う」と指示役であることを否認している。
閉廷すると汪被告は傍聴席にいる支援者や知人に「支援をよろしくお願いします」と頭を下げ、法廷を後にした。支援者たちはどのような思いを抱いているのだろうか。