大分市佐賀関で約170棟が焼けた大規模火災で、避難を続ける住民が22日、発生後初めて立ち入り規制区域の中に入り、自宅の被害状況を確認した。様変わりした自宅を目の当たりにした住民からは「跡形もなかった」「気持ちが沈んだ」といった悲痛の声が聞かれた。
午前8時半、第1陣の約10人が避難所からバスに乗り込み、自宅近くまで移動。市職員らと一緒にバスを降り、30分ほどそれぞれの自宅を確認した。
息子と2人暮らしという姫野政彦さん(85)は、「跡形もなかった。しょうがない、諦めるしかない」とうつむいた。かつて住んでいた家は残っていたといい、改築して住むか検討するという。
60年以上暮らす自宅が焼けずに残っていた女性(87)は「ほっとした」と胸をなで下ろす一方、「弟の家は全焼で、周りは更地。喜んではいられない」とつぶやいた。 [時事通信社]