東京都は、ホテル・旅館の宿泊者に課税する宿泊税について、現行の定額制を改め、宿泊料金に3%を課す定率制へと切り替える制度見直しの素案をまとめた。新たに民泊や簡易宿所も対象とする。課税を免除する料金帯(課税免除基準)は、現行の1人1泊あたり「1万円未満」から「1万3000円未満」へ引き上げる。
27日から来月26日まで素案についてパブリックコメント(意見公募)を行い、来年2月予定の都議会に条例改正案を提出する。総務相の同意を得た後、2027年度中の施行を想定する。宿泊税収は年間で69億円(今年度見込み)から190億円に増える見通し。
都は02年10月から、宿泊料金が1人1泊あたり1万~1万5000円未満の場合は100円、1万5000円以上は200円を定額で課してきた。税収は観光産業振興費に充てられている。
ただ、インバウンド(訪日客)の急増もあって行政コストは増大しており、今年度の当初予算では、観光産業振興費は306億円を計上したのに対し、宿泊税収は2割強の69億円(見込み)にとどまる。
定率制の宿泊税は、景気動向や物価上昇に対応しやすく、外資系の高級ホテルなど高額な宿泊料金に応じて課税できる。一方、客から徴収する役割を担う宿泊事業者の負担は大きくなる。国内では北海道倶知安町が19年11月に2%で導入したほか、沖縄県も26年度中の導入を目指している。