政府が、外国人政策を巡って検討している制度見直し案の概要が26日、明らかになった。在留審査を厳格化するため、税や社会保険料の未納情報をマイナンバーを活用して政府と自治体間で共有することが柱だ。医療費の不払い防止に向け、入国前に民間医療保険への加入を求める制度を設けることも検討する。
複数の政府関係者が明らかにした。高市首相は4日に「外国人との秩序ある共生社会の実現」に向け、関係閣僚に対し、外国人の違法行為防止に向けた取り組みの推進を指示した。来年1月をメドに基本方針を取りまとめる。
見直し案によると、2027年から、出入国在留管理庁が、マイナンバーを活用したデジタル庁のシステムで、国や地方自治体が管理する外国人の税、社会保険料の関連情報を直接参照できるようにする。滞納があれば、在留資格の更新を認めない姿勢を示し、未納の防止にもつなげる。
日本国内に居住実態がなく、本来は資格のない外国人が児童手当を受給できないようにする措置も講じる。27年以降に関係機関の情報を共有するネットワークシステムを整備し、支給する自治体が出入国関連の情報を把握できるようにする。
民間医療保険への加入を求める制度創設は、訪日外国人が医療費を支払わずに出国する事例が相次いでいることへの対策として検討を進める。厚生労働省など関係省庁が今年12月から協議を始める方針だ。入国審査で入管庁に報告される医療費の不払い情報の基準は、現行は20万円以上だが、来年度から1万円以上に引き下げ、入国審査に役立てる。
健康上の理由などから一時的に収容施設から解放された仮放免者について、入管庁の把握する情報を照会前に「プッシュ型」で自治体に提供する仕組みの構築も目指す。逃亡や不法就労を防ぐ狙いがある。