18兆3034億円の補正予算案を閣議決定…高市首相「戦略的な財政出動で強い経済を構築」

政府は28日の持ち回り閣議で、総合経済対策の裏付けとなる2025年度補正予算案を決定した。一般会計の歳出総額は18兆3034億円で、25年度当初予算と合わせた補正後の総額は133兆5012億円に膨らむ。歳入では、6割超の11兆6960億円を国債の追加発行で賄う。
開会中の臨時国会に12月上旬に提出し、早期の成立を目指す。
歳出では、総合経済対策関係費が17兆7028億円で大半を占める。内訳は〈1〉生活の安全保障・物価高への対応に8兆9041億円、〈2〉危機管理投資・成長投資による強い経済の実現に6兆4330億円、〈3〉防衛力と外交力の強化に1兆6560億円をそれぞれ計上する。災害やクマ被害の拡大に備えるための予備費7098億円も追加した。
物価高対策では、冬場の電気・ガス代支援に5296億円を充てるほか、地方自治体が活用できる交付金を2兆円拡充し、食品向けに特別枠を設けた。強い経済の実現では、造船業の再生に向けた基金に1200億円を計上したほか、AI(人工知能)や量子、宇宙分野などでサプライチェーン(供給網)の強化を図る。
高市首相は28日、X(旧ツイッター)に「戦略的に財政出動を行うことで強い経済を構築し、成長率を高め、税収の自然増を目指す」と投稿した。
歳入では、当初見積もりからの税収の上振れ分2兆8790億円を活用する。補助金や基金の返納金などの税外収入1兆155億円や、24年度の剰余金2兆7129億円を充てても賄えないため、新たに歳入全体の64%にあたる11兆6960億円の国債を発行する。
25年度の税収は、賃上げによる所得税収の伸びなどで80兆6980億円となり、初めて80兆円を突破する見通しだ。