どの口が言うのか。参政党の神谷宗幣代表の発言に対し、あちこちからツッコミが入っている。26日の党首討論で「国民の情報リテラシー強化」を言い出したからだ。参政はデマの“宝庫”。実現すれば党の存続を揺るがしかねない。
高市首相が初めて臨んだ党首討論は45分間だった。持ち時間が3分だった神谷氏は、前日に参院に単独提出したスパイ防止を目的とした法案2本に言及。「国民にしっかりと情報リテラシーを持ってもらって、みんなの目で情報をチェックしていく」などとまくし立てた。
ブーメランになりやしないか。神谷氏は「粉もん文化は戦後にできた」「米国に作られた食文化を守る必要ない」と公言。編著した「参政党Q&Aブック」では、食品の危険性をめぐって〈生産者の大半が、自身が手がける食材の危険性を訴えています。市販の食材の大半は体に害を及ぼすものです〉と明言。「がんは戦後にできた病気だから!」とも言い切ってきた。侵略的外来種をまき散らすジャンボタニシ農法や、疑似科学と指摘されるホメオパシーを推奨する党員もいる。
カルト問題に詳しいジャーナリストの藤倉善郎氏はこう言う。
「いわゆるスパイ防止法は国家の独立を守ることを目的とするもの。フェイクニュース規制の文脈で情報リテラシーを持ち出すのなら分かりますが、スパイ防止とどうつながるのか。スパイ防止法という器に『日本人ファースト』に関連づく夢を乗っけているように見える。そもそも、参政党は支持者も含め、無邪気に何でもかんでも一緒くたにする傾向があります」
■実態は“真っ赤なオレンジ”
神谷氏はその後の定例会見で、ボード(常任役員会)メンバーの梅村みずほ参院議員を25日付で解任したと発表。理由は「党のガイドライン通りに行動しなかった」から。9月に参政入りしてボードメンバーとなり、政調会長補佐を務める元自民党衆院議員の豊田真由子氏とのイザコザ問題をめぐり、週刊誌の取材に応じたことへのペナルティーだ。
「党本部の許可なしで取材対応しない縛りは、地方議員レベルまで徹底している。有権者を代表してバッジをつけているのに、個人の裁量による発言を許さないのはおかしい。ガチガチの言論統制は一党独裁の中国共産党を彷彿とさせます。オレンジなのに赤っぽい。さながら真っ赤なオレンジです。一般常識とはズレたカルト集団のような感覚が通底する参政党が立法を担うのは危うすぎる」(藤倉善郎氏)
確かに情報リテラシー強化は待ったなしだ。
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