任意聴取13回60時間、「実質的な逮捕だった」…町職員「精神的苦痛受けた」と県を提訴

熊本県警からの長時間に及ぶ任意聴取などで精神的な苦痛を受けたとして、玉東町の男性職員が県を相手取り、220万円の損害賠償を求める訴訟を熊本地裁に起こしたことが関係者への取材で分かった。提訴は10月30日。
関係者によると、男性は担当していた町発注の建設工事を巡り、2022年11月5日~12月28日、官製談合防止法違反の疑いで県警から事情聴取を受けたという。応じた時間は計13回で約60時間に及んだとし、「任意捜査の限界を超えている」と訴えている。
また、子どもの行事があることを理由に任意同行を断った際に、捜査員から他の町職員も署に来るとのうそをつかれたほか、取り調べで携帯電話のロック解除を強要されたり、供述調書の訂正をしてもらえなかったりしたと主張している。読売新聞の取材に男性は実質的な逮捕だったと振り返り、「家族につらい思いもさせ、職場を混乱させた。県警に非を認めてほしい」と話した。
県警監察課は「訴状を精査中で、今後裁判が始まることもあり、コメントは差し控えさせていただく」としている。
今年6月の町議会一般質問で、前田移津行町長らは町発注工事を巡り、同法違反の疑いで町職員6人が取り調べを受けたことを明らかにしていた。