岩手県の山中で「親子のツキノワグマ」に襲われた男性の恐怖体験。対策グッズがない人が取るべき行動とは

クマ被害が過去最悪を記録し、死者13人・負傷者197人という異常事態に陥っている今年。どんぐり不作や人馴れの進行、冬眠しない個体の増加により、市街地での遭遇リスクはかつてないほど高まっている。とくに興奮状態のアーバンベアは警戒心が弱く、人を見つけるや否や襲いかかる危険性がある。そんな“今そこにある脅威”を体験した被害者が、突然の襲撃とその後の壮絶な現実を語った。

◆山林で襲われるケースも

クマとの遭遇率が高まる、山林で襲われるケースも後を絶たない。一昨年、岩手県の山中できのこ狩りに興じていた際、親子のツキノワグマに襲われた佐藤誠志さんが話す。

「“原生林の熊”の通称でYouTubeを運営しているので、動画を撮影しながら舞茸を採っていたら、ガサガサと物音がして、気づいたら子グマが木に登っていた。これはクマ襲来のサインなんです。要は、母グマが子に狩りの仕方を教える際に見られる行動。

とっさに杖代わりにしていた木の棒を振り回し、母グマに叩きつけたのですが、30秒ほど追いかけ回され、腕と脚を爪で引っかかれた。不幸中の幸いだったのは、若い母グマで体長80㎝ほどだったこと」

◆クマ対策で有効なグッズ

佐藤さんはその3日後には再び山へ。「対策をすれば山中で遭遇するクマは決して怖いものではない」と話す。

「クマは警戒心が強いので50m以上離れていれば、襲ってくることはありません。仮に気づかれたら、刺激しないよう静かに後ずさりすれば、山中のクマはほぼ近づいてこない。だから、さまざまな警戒音を鳴らせる『熊よけホーン』を携帯して、25m歩くたびに鳴らすようにしました。『ここに人間がいる』と知らせることが重要。

ただ、すでに臨戦態勢にあるクマには通用しないので、二股に分かれた槍状のクマ撃退用山菜採りポールを開発しました。頭と顔を守れるヘルメットも購入した。クマスプレーも装備しているのでクマ対策は万全です!」

◆クマ対策グッズがないときは…

では、クマ対策グッズがない人は、どう備えるべきか?

「リュックなどに食料が入っている場合は、それを投げて囮にして距離を取る。身の回りのもので対処するなら、傘を広げると威嚇効果がありますし、襲ってきたときも距離を取りやすい。長い棒を鼻先に伸ばすと、必ずクマは一度立ち止まるんです。また、長いひもやベルトなどを振り回すのも有効と聞きます。ヘビのように見えて、警戒するようです」

万が一に備えて傘ぐらいは持ち歩いたほうがいいかも。

◆クマ対策4つの神器

①クマ対策ヘルメット

「プロトス インテグラル アーボリスト」という顔もガードできる4万円超の高級メットを利用。

②クマスプレー

クマスプレーは最強のクマ対策グッズ。噴射範囲が10m近くあるほうが有効。ロック解除に慣れが必要なので要練習

③熊鈴

複数の音色がするほうが有効とされており佐藤さんは2つ携帯。さらに熊よけホーンを鳴らして移動

④クマ撃退ポール

佐藤さん自ら開発。クマ遭遇時は、二股に分かれた槍部分で鼻や口を狙う。1.2万円で販売中とか

◆山中では大きく見せて威嚇せよ

①ベルトやヒモを振り回すとヘビに見えてクマが怯む可能性あり

②傘をバッと広げると威嚇効果あり。距離を取るのにも有効

※週刊SPA!12/9号より

取材・文/週刊SPA!編集部

―[[クマvs人間]ガチンコ撃退術]―