旧統一教会の田中富広会長「一部の方に深いご心痛を与えた」 元信者らに謝罪、辞任発表

世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の田中富広会長(69)が9日、東京都渋谷区の教団本部で記者会見し、辞任を発表した。「私たちの活動が一部の方に深いご心痛を与えたことは決して軽視できない」と、高額献金などの被害を訴える元信者らに向けて謝罪を表明した。
田中氏は辞任の理由について「継続して社会をお騒がせしてきたこと、今なお被害を訴える方々がいることに対する道義的立場からだ。改めておわびする」と述べ、深々と頭を下げた。「おわび」の意味について「刑事責任や民事責任の枠を超えて、被害を訴える方に謝罪の意を込めておわびした」「私個人ではなく教団の認識」と説明した。
田中氏は令和2年に第14代会長に就任。4年の安倍晋三元首相銃撃事件後に教団に批判のほこ先が向いた事態や、翌年の文部科学省による解散命令請求などに対応してきた。
東京地裁が今年3月に解散を命令し、不服として教団側が即時抗告。11月に最終主張書面を提出し、審理が終結した。高裁が本年度内にも判断を示す可能性がある。第三者の弁護士が元信者らへの補償の可否を判断する「補償委員会」も発足した。

田中氏は「高裁決定を待つ段階になり、新しい方向性とビジョンを示す」「教団改革で次世代を迎える環境が整った」とも述べた。後任には堀正一・元副会長(55)が就任した。