神奈川で撃てるおもちゃ銃2900丁流通か、回収わずか76丁…来年以降は銃刀法抵触の恐れ

クレーンゲームの景品などとして流通し、本物の拳銃と同じ発射能力のあるプラスチック製の玩具銃「リアルギミックミニリボルバー」について、神奈川県警が回収を急いでいる。県内には約2900丁出回っているとされるが、11月末までに回収されたのは76丁。来年以降は所持していると銃砲刀剣類所持等取締法(銃刀法)に抵触する恐れがある。(滝川乃彩)
捜査関係者によると、11月上旬、大磯署に2丁のプラスチック製玩具銃が届けられた。男児(9)が1月、北関東のゲームセンターのクレーンゲームで取った1丁と、もう1丁は近くにいた別の子供からもらったものだった。
父親が2月頃、実弾を入れると殺傷能力がある玩具銃の新聞記事を読み、息子の持っているおもちゃと似ていることに気づいた。すでに紛失してしまったと思い、当時は届け出なかったという。10月頃、「所持していると違法性を問われるかもしれない」というニュースを見て、慌てて捜し出し、同署に相談した。
届けられた玩具銃は全長約12センチで、プラスチック製の弾が付属されていた。赤や青、緑などカラフルな見た目の反面、回転弾倉式拳銃で、実弾を発射できる構造だという。県警薬物銃器対策課の担当者は「素材は一見おもちゃに見えるが、中身は本物の銃と変わらない」と注意を促す。
警察庁などによると、この玩具銃は昨年12月以降、中国から約1万6000丁が輸入され、31道府県の78企業に卸されたとみられる。今年5月、兵庫県警などが捜索した住宅で発見され、鑑定の結果、実弾発射能力が確認された。
神奈川県警によると、県内には約2900丁が卸されたとみられ、11月末までに76丁が回収されている。うち65丁は横浜市内のおもちゃを販売する店舗で売られていたもので、客が気づくなどして7月に回収された。だが他県で入手した大磯署のようなケースもあり、県内全域にどのくらいあるのか、正確な数は不明だ。
県警の回収期間は今月末までで、期限を過ぎて所持や販売をすると、銃刀法違反にあたる可能性がある。県警の担当者は「おもちゃに見えるが拳銃なので、実弾がなくても十分に危険。もし持っていたら、近くの署に相談してほしい」と話している。