青森県で震度6強を観測した地震に伴い北海道・三陸沖後発地震注意情報が初めて発表されたことを受け、対象となる自治体はSNSなどを通じて住民に災害への備えの徹底を呼び掛けたり、避難所の備蓄量を増やしたりするなどの対応に着手した。
アルファ米、毛布などを増やす
震度5強を観測した北海道函館市は9日朝、市の公式ホームページやSNSのX(旧ツイッター)などで災害への備えを徹底するよう市民に呼び掛けた。今回初めて発令された北海道・三陸沖後発地震注意情報が市民にはまだなじみが薄いとして、余震などの状況に応じてさらなる情報発信も検討する考え。
震度5弱に見舞われた北海道苫小牧市は防災メールやSNSのほか、高齢世帯など約3千世帯が利用する防災行政無線の個別受信機を通じて1週間程度、注意を喚起する情報を毎日発信する。
浦河町では町内87カ所の避難所のうち7カ所を開設。約700人が一時的に避難したという。「新たな地震で町民が再び避難することも想定し、開設した7つの避難所の水、アルファ米、毛布の備蓄量を増やした」と防災担当者。町は当面の間、災害対策本部を維持する方針で、注意情報発令中は「職員には退庁後に自宅待機するよう伝えている」と話した。
震度4を観測した釧路市は9日午前2時すぎ、市の公式ホームページなどを通じて注意情報が発令されたことを市民に伝えた。防災危機管理課の担当者は「災害警戒本部を1週間程度存続させ、万が一の際に迅速に対応できる態勢を維持する」としている。
「避難経路、持ち出し袋の再確認を」
宮城県では津波注意報が出た段階で、復興・危機管理部内に部長をトップとする警戒本部を設置して情報収集を始めた。初の後発地震注意情報に防災推進課では「ここ数カ月、東北地方で地震が頻発していたので、『いつか出るのではないか』と思っていた。大きな地震が来る確率が相対的に高まったことで、緊張感をもって臨みたい」と話す。県民には通常の社会的な経済活動を行いながら、避難経路や家族の安否、持ち出し袋の再確認をするよう呼び掛けていくという。
震度5強を観測した岩手県は、発生と同時に復興防災部に災害警戒本部を立ち上げ、久慈市など12市町村に災害救助法の適用を決めた。防災課では昨年8月の南海トラフ地震臨時情報の「巨大地震注意」の際、過度の対応で混乱があったことを教訓に、「初めての後発地震注意情報だが、日ごろの社会生活を続けるよう県のホームページなどで呼び掛けていく」(同課担当者)。また、2人の当直体制をしばらくの間、5人に増員して深夜の地震でも対応できるようにするという。(坂本隆浩、菊池昭光)