北海道釧路市内の6つの自然保護団体が11日、オンラインで実施していた太陽光発電施設の駆け込み建設中止を求める署名を北海道に提出した。代表者ら4人が札幌市の道庁本庁舎を訪れ、加納孝之副知事に文書を手渡しながら「市民との合意形成がなされない事業は直ちに中止を求めるよう強く望む」などと訴えた。
署名を提出したのは、釧路自然保護協会、猛禽(もうきん)類医学研究所、日本野鳥の会釧路支部、日本鳥類保護連盟釧路支部、NPO法人トラストサルン釧路、もっと釧路湿原の6団体。3月末に6団体連名でオンライン署名を始め、10日までに17万5948筆が集まった。
釧路自然保護協会の神田房行会長は、釧路市が10月1日付で施行したメガソーラー規制条例について「対象は来年1月1日以降に着工される事業。いろんな業者が太陽光発電計画を釧路市に提出し、すでに工事を始めているところもある」と年内の駆け込み着工を懸念。「北海道に工事を止めてもらうことができないかと思い、直接お願いにきた」と述べた。
また、猛禽類医学研究所の斉藤慶輔所長は、鈴木直道知事が11月に公表したメガソーラー事業者向けメッセージの「地域との共生が大前提」とする原則を踏まえ、「地域の反対運動が起こっているのに聞く耳を持たず計画を進めている事業者もいる。これは道庁の方針に真っ向から対立するものだ。守らない場合はきちんとした意思表明をしてほしい」と道に厳しい対応を求めた。
加納副知事は釧路市のメガソーラー事業を巡る情勢などに触れながら、「遅いといわれるかもしれないが順次対応を積み重ねてきている」と強調。「各省庁とも連携しながら、今ある法律の中で毅然(きぜん)とした対応を進めていきたい」と述べた。
釧路湿原国立公園周辺のメガソーラーを巡っては、日本エコロジー(大阪市中央区)が進める事業で森林法違反や土壌汚染対策法違反などが相次いで見つかり、約70回にわたる行政指導が行われている。(坂本隆浩)