政府は13日、アイヌ政策推進会議(座長・黄川田仁志沖縄・北方担当相)を札幌市で開き、アイヌ民族との共生社会の実現を掲げたアイヌ施策推進法(アイヌ新法)の改正を見送ると報告した。施行5年後の見直しに合わせ、差別的言動への罰則規定創設などを求める声が上がっていた。
2019年5月に施行された同法はアイヌ民族について「先住民族」と初めて明記し、地域振興に活用できる交付金制度などを盛り込んだ。「アイヌであることを理由として差別してはならない」とも定めるが、罰則は設けていない。
黄川田氏は会議後の記者会見で、罰則規定について「刑法で既に名誉毀損(きそん)罪、侮辱罪などの罰則規定が整備されていることから(創設は)困難だ」と説明。「差別解消に向け、アイヌの歴史・文化の普及・啓発、人権啓発、相談事業などの取り組みを着実に実施したい」と語った。 [時事通信社]