長崎県に大雨特別警報が発表されていた28日午前、同県の中村法道知事が国土交通省への陳情で上京した。中村氏は記者団に「出発を遅らせて大雨対応に当たった。陳情も大事な課題」と釈明したが、防災の専門家からは「陳情は延期すべきだった」と疑問の声が出ている。
陳情はクルーズ船の受け入れ拡大に向けた長崎港の整備を求めるもので、中村氏は午前11時前の航空機で長崎空港から上京し、午後2時半ごろ国交省の牧野京夫副大臣に陳情した。
大雨特別警報は午前5時50分に出て、午後2時55分に解除された。県によると、中村氏は当初もっと早く上京し、国会議員にも陳情する予定だったが、出発便を遅らせ、県庁で被害や雨の見通しなどの情報を収集したという。県は「副知事2人は地元におり、突発事態にも対応できた」としている。
東京女子大の広瀬弘忠名誉教授(災害リスク学)は「既に災害が起きている状況を示すのが特別警報。県の危機管理のトップが不在にしていいのか。急ぎでない陳情は延期すべきだった」と指摘、中村氏の判断を疑問視している。