H3ロケット8号機、再び発射地点に 22日午前の打ち上げに向け、改めて最終段階の作業

機体や打ち上げ設備の不具合による2度の延期を経て、22日に打ち上げられる日本の主力ロケット「H3」8号機は21日夜、格納されていた種子島宇宙センター(鹿児島県南種子町)の大型ロケット組立棟を出て再び発射地点に戻り、改めて打ち上げに向けた最終段階の作業に入った。
37分かけて400m移動
機体は午後8時半、組立棟から移動発射台でゆっくりと移動を始め、約37分かけて約400メートル離れた発射地点に到着。配管の接続や燃料の充、電気系統のチェックなどの作業に取りかかった。
8号機は、日本版の衛星利用測位システム(GPS)を担う国の準天頂衛星「みちびき」5号機を搭載。22日午前10時51分30秒に打ち上げられ、発射から約30分後、みちびきを軌道に投入する。
2度の打ち上げ延期
当初計画の打ち上げ日は7日だったが、機体の部品に不具合が見つかったため、原因究明と部品の交換が必要となって17日に延期された。
さらに、17日には打ち上げ時刻の16・8秒前、エンジンが燃焼を開始すると発する高温の噴流を冷やすため、発射台側から水を噴射する装置に不具合が判明。打ち上げのカウントダウンが緊急停止されて再度の延期が決まり、機体は発射地点から組立棟へと戻された。
「心1つに、全力尽くす」
H3プロジェクトを統括する宇宙航空研究開発機構(JAXA)の有田誠プロジェクトマネージャは、種子島宇宙センターで20日に開いた記者会見で、「他に同様の不具合がないことを確認しており、より信頼性が高まった状態で打ち上げに臨める。スタッフ一同、成功に向けて心を1つにして全力を尽くし、何としても皆さんの期待に応えたい」と話した。