山形県新庄市の市立旧明倫中学校で1993年、1年の児玉有平君(当時13歳)が体育用マットの中で死亡した事件を巡り、遺族が傷害や監禁致死容疑などで逮捕・補導された当時の生徒7人のうち3人を相手取り、約5760万円の損害賠償を求めて、山形地裁に提訴したことがわかった。提訴は11月17日付で、時効(10年)により、損害賠償請求権の消滅を防ぐことが目的で、3度目の提訴となる。
事件を巡っては、遺族が95年、元生徒7人に損害賠償を求めて提訴し、最高裁で2005年に勝訴が確定。約5760万円の賠償命令が出たが、全員が支払いに応じなかった。
訴状などによると、遺族側は、勤務先などが判明している元生徒に対し、差し押さえ手続きを実施。勤務先などが不明で差し押さえができなかった元生徒についても、時効による請求権の消滅を防ごうと、16年に再提訴した。同年の山形地裁の判決では、元生徒2人に対し、請求通りの支払いを命じていたが、催告にもかかわらず支払いはなかった。
遺族側は今回の提訴で、差し押さえができず、支払いに応じない被告3人に対し、計約5760万円を支払うことを改めて求めた。
読売新聞の取材に対し、遺族は19日、「今はお話しできない」とした。
児玉君は93年1月13日夜、旧明倫中の体育館用具室で、丸められたマットの中で頭を下にして死亡しているのが発見された。事件に関わったとして当時の生徒3人が傷害、監禁致死容疑で逮捕、4人が補導された。7人のうち、児童福祉司指導処分となった1人を除く6人が家裁送致され、少年審判では逮捕された3人は刑事裁判の「無罪」に当たる不処分、補導された3人が保護処分となった。