私は高市早苗首相が嫌いだ。
理由はいくつもある。一つは、子供の夢を壊す人間に、この国の未来を託すわけにはいかないからだ。
1972年の日中国交正常化以来、子供たちの“国民的アイドル”になったパンダが一頭もいなくなる。前から決まっていたことだが、中国との関係がこれほど冷え切っていなければ、上野公園のシャオシャオとレイレイに代わるパンダが、中国側の好意で贈られるという希望はあった。だが、「台湾有事」という致命的な失言をした高市日本に習近平がそうした“配慮”をすることなどないだろう。
高市首相よ、日本中の子供たちの悲鳴が聞こえないか?
■「鉄の女」ならぬ「カンナくずの女」
政権が発足して2カ月経つが、高市首相の発言や政策を追っていると、どれもこれも「場当たり的」でしかない。台湾有事をめぐる唐突で強硬な答弁と、その後のお粗末な対応。財源の裏付けが薄いバラマキ的経済政策。日本維新の会との議員定数削減合意──いずれもその場をしのぐために妥協に妥協を重ねているだけで、「信念を持った保守派宰相」という前宣伝は虚妄に過ぎなかったことがはっきりした。
彼女が敬愛するサッチャー元英国首相が生きていたら、「私は鉄の女。あなたはペラペラよく燃えるカンナくずのような女よ」と目を背けるに違いない。
私が一番呆れたのは、11月26日の党首討論で、野田立憲民主党代表から企業・団体献金について追及された際の、「そんなことより」発言である。
慮るに、裏金問題の“巨魁”萩生田光一を幹事長代行に据えたことを追及されるのを恐れ、話を無理やり変えようとして出た「本音」であろう。後々まで語り継がれるだろうこの迷言こそ、流行語大賞にふさわしかったはずである。
週刊誌の論調にも変化が出てきている。週刊新潮、週刊文春はもともと保守色が強い。とくに新潮の中国嫌いは“病膏肓(こうこう)”といっては失礼だが、筋金入りである。当初、高市首相の習近平に銃を向けるかのような発言に喝采を送った。
だが、新潮の論調が変わってきた。12月18日号のトップで「高市首相に地元宗教法人から3000万円の違法献金疑惑」があると報じている。
民族派団体代表だった父親が開設した宗教法人を娘が継いだが、くだんの神社には留守番の女性しかおらず、信者も氏子もいないという。高市が代表を務める「自民党奈良県第二選挙区支部」に宗教法人が3000万円を寄付する場合は、前年にかかった「経費」が6000万円以上なければならない。“疑惑は深し桜島山”である。