被爆者団体「80年を台無しに」 官邸関係者の核保有発言に抗議

安全保障を担当する首相官邸関係者が「日本は核保有すべきだ」と発言したことに対し、被爆者団体などから抗議の声が上がっている。
広島県内の被爆者7団体が22日、広島市内で開いた記者会見で、日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)の田中聡司代表理事(81)は「『平和国家』と言って進んできたこの80年を台無しにするような発言だ。日本の立ち位置を再確認する必要がある」と憤った。県原爆被害者団体協議会の佐久間邦彦理事長(81)は「日本が核を容認しているように捉えられてしまうと危惧する。非核三原則を日本は守るべきだ」と訴えた。
また、もう一つの県被団協(箕牧(みまき)智之理事長)は22日、「非核三原則を否定し、NPT(核拡散防止条約)体制における橋渡しをも否定するもので断じて許すことはできず、厳しく抗議する」との声明を出した。
声明は、「核兵器の危機から免れることができるのは、核兵器を無くすことによってのみである」と強調。非核三原則の堅持と法制化を求めた。
市民団体「核兵器廃絶をめざすヒロシマの会」は「核被害者たちの声を真摯(しんし)に聴いていれば人間として絶対に言えない発言だ」などと声明で非難した。原水爆禁止広島県協議会(県原水協)も撤回と関係者の更迭を求める抗議文を政府に送付した。【井村陸】