NHK戦後80年ドラマ巡り提訴=遺族「卑劣に描かれた」―東京地裁

NHKが戦後80年企画で放送したドラマで、登場人物のモデルになった祖父を卑劣な人物に描かれ精神的苦痛を受けたとして、元駐仏大使の飯村豊氏(79)が24日、NHKなどに計550万円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こした。
訴状によると、NHKは8月16、17日に「シミュレーション~昭和16年夏の敗戦~」を放送。飯村氏の祖父に当たる首相直轄機関「総力戦研究所」の所長は、日米開戦の机上演習で若手官僚らが出した「日本必敗」の結論を覆す人物として描かれた。飯村氏側は「議論を抑圧して無謀な日米開戦に誘導した狭量かつ思慮浅薄な人物とされた」と主張している。
飯村氏は放送倫理・番組向上機構(BPO)に審議を求めたが、放送倫理検証委員会は10月、テロップでフィクションと明示していたことなどから「視聴者に誤解は生じない」として討議入りしないと決めた。
NHKの話 誠心誠意対応したが、このような事態になり残念。訴状を確認し、裁判でNHKとしての考えを主張する。 [時事通信社]