警察庁は8日、匿名・流動型犯罪グループ(トクリュウ=匿流)によるマネーロンダリング(資金洗浄)対策を強化するため、警察が架空名義の金融機関口座を開設して犯罪集団に使わせる新しい捜査手法を導入する方針を明らかにした。「送金バイト」の直接規制と口座売買の罰則強化と併せて法改正して実施する方針。
匿流対策では、警察官が身分を偽り闇バイトに応募する「仮装身分捜査」が2025年から実施されている。「架空名義口座捜査」でさらに一歩踏み出す。警察庁は、23日召集の通常国会に犯罪収益移転防止法の改正案を提出する。
警察庁では、有識者検討会がマネロン対策の議論をしてきており、報告書が8日に公表された。
報告書は架空名義口座捜査について「引き続き通帳の不正譲渡などが行われ得ることを踏まえ、新たな対策として導入する必要性が認められる」と指摘。犯罪をする意思がない人を犯罪に誘い込む行為には当たらないとも位置づけた。
捜査の具体的な手順は、警察が金融機関の協力を得て、架空の人物名義の口座を開設。交流サイト(SNS)上の「口座買います」といった投稿に応募して口座を犯罪グループに譲渡し、その後、特殊詐欺などの被害金が入金されれば口座の利用を停止する。
被害金は警察が特定した被害者に返還する。特定できない場合は他の被害者の被害回復に向けた給付金の原資とし、さらに残りがあれば犯罪被害者らの支援策に充てることを検討する。
送金バイトは、犯罪グループによりSNSで募集されている。自分の口座に振り込まれた被害金を、指示された別口座へ送金する。警察庁によると、23~24年に約100件の送金バイトが確認された。
口座を売却せずに自身の名義のまま使うため、口座売買を禁じた犯罪収益移転防止法では、直接罪に問えない。報告書は「脱法的行為であり、罰則の創設が必要」と指摘。報酬を得た場合に限定し処罰対象にすべきだとした。
口座売買について報告書は「被害が増加している特殊詐欺の前提となり得る犯罪」とし、罰則を強化すべきだとした。現行では1年以下の拘禁刑もしくは100万円以下の罰金、またはその両方を科すとなっており、警察庁で引き上げの幅が検討される。【深津誠】