栃木の県立高校で生徒が別の生徒に暴行した様子を撮影した動画がSNSに投稿された問題で、高校側が動画の生徒が同校の者であることを認めた。報道によれば、「いじめ防止対策推進法のいじめの定義に該当し得る」との認識を示したという。
【画像】あまりにひどい…顔を殴り、頭部を回し蹴りする様子。周囲では囃し立てる生徒の姿も…
筆者は、暴行動画が拡散された背景要因について、前回の記事で「自力救済」の視点から論じた(栃木「県立高校で暴行」動画がここまで拡散した訳)。自力救済とは、自分の利益を侵害された者が、法の適正な手続きに従った国の機関などによる救済が期待できない場合に、自力でその回復を図ることを指している。
「自力救済」は決して褒められないが…
近年、このような動画などの直接的な証拠による告発が顕著になってきている。
いじめや虐待、パワハラなどの人権侵害に対して、警察や組織の対応が遅い、または期待できない場合に、被害者や関係者が証拠動画をSNSに公開し、メディアを中心とした世論の力を借りて社会的な制裁を下す方法である。
もちろん、自力救済は法的な権利として認められているものではない。そのため、動画を公開する被害者や関係者の側はそれ相応のリスクを負うことになる。
しかし、学校などの「暴力が暴力として認知されない」聖域では、問題を早期に解決するに当たって、他に選択肢がないという厳しい現実があるのも事実だ。実際、栃木県警の動きは迅速であった。
つまり、学校において暴行そのものが野放しにされ、加害者への処分など適切な対応が取られない事例があまりに多過ぎるのである。そして結果的に、被害者が転校を余儀なくされるケースが後を絶たない。「子ども同士のことだから」というお茶を濁すような定型文をよく聞くが、事を荒立てたくない学校側の保身が見え隠れする。
“学校外”なら補導や逮捕の可能性もある行為だ
だが、今回炎上した動画の場合、ほとんど無防備の相手の顔面を殴ったり、頭部に蹴りを入れるなどの暴行を行っている。これを学校ではなく、街中で一般の子どもや大人に行えば、当然警察に通報され、補導や事情聴取、場合によっては逮捕や書類送致の対象となる可能性が高い。相手が怪我をすれば傷害罪に当てはまる。
加害者が14歳以上の未成年であれば刑事責任能力が認められ、犯罪少年として扱われることになる。成人と同様に警察の捜査を受け、家庭裁判所に送致され、少年院送致や保護観察などの処分を受ける可能性がある。