今年の新年の一般参賀では、色とりどりのドレスに身を包んだ女性皇族がずらりと並ばれていた。
秋篠宮さまも公務の担い手不足を心配されていた
「ベランダには美智子さま、雅子さま、紀子さまはもちろん、天皇家の長女愛子さま、秋篠宮家の次女佳子さまなど10名の女性皇族が並ばれており華やかで、新年に彩りを添えられていました」(皇室担当記者)
しかし、現行の皇室典範では、その多くの方がいずれ皇族ではなくなる可能性がある。第十二条では《皇族女子は、天皇及び皇族以外の者と婚姻したときは、皇族の身分を離れる》とある。この状況を問題視しているのは、象徴天皇制に詳しい名古屋大学大学院人文学研究科の河西秀哉准教授だ。
「皇室典範の改正については、本来もっと早期に結論を出すべきでした。議論が停滞し続けることは、ご本人たちが将来の人生設計を描けないという事態を招いています。特に佳子さまは、いつ結婚されて皇籍を離脱されてもおかしくない年齢を迎えられており、制度の行方が個人の選択を縛っていると言わざるを得ません。今年はまさに決定を下すべき“タイムリミット”ではないでしょうか」
皇族減少への危機感は小泉内閣のころから浮き彫りになっていた。’05年には「皇室典範に関する有識者会議」が開かれたが、悠仁さまの誕生により、一度白紙に。それ以来、皇位継承の議論が大きく進んでいるようには見えない。
「佳子さまは現在31歳。姉の眞子さんが婚約内定会見を開かれたのは27歳のときでした。結婚について現実的に考えられていても不思議ではありません。また、現在は日本赤十字社での勤務や公務に邁進されている愛子さまも、現行制度のままでは結婚と同時に皇室を離れなければならず、国民の間ではその活動継続を望む声も根強くあります」(前出・皇室担当記者)
河西准教授は現行の皇室典範を継続した場合の課題として「公務の担い手不足」と「皇位継承の不安定さ」を挙げ、こう続ける。
「現在、女性皇族が日々多くの公務をこなされていますが、彼女たちが皇籍を離脱すれば、活動を支える担い手が不在になってしまいます」
現在、佳子さまは皇室内でいちばん多く公務をこなされている。宮内庁の発表によれば、昨年のご活動は実に200件近くにも上り、’24年を上回る状況に。父の秋篠宮さまも昨年の60歳の誕生日の際、会見で触れられた。
《高齢化も含めて、公的な活動の担い手が減ってきているというのは、もう間違いないことです。しかし、その状況を変えるのは、今のシステムではできません。いかんともし難いことだと思います。やはり、全体的な公的な活動の規模を縮小するしか、今はないのではないかと思います》
短期間での改正も実現不可能ではない
また、河西准教授は皇位継承についても警鐘を鳴らす。
「若い男性皇族は悠仁さまおひとり。男系維持を前提とする限り、将来の結婚相手に『必ず男子を産む』という過度なプレッシャーがかかり続けることになります。雅子さまがかつて受けられたようなストレスは避けるべきで、このままでは本当に皇室が消滅しかねないと危惧しています」
解決策として「女性皇族が結婚後も残れる案」と「旧皇族の男子を養子に迎える案」が検討されているが、これには国民の税金が関わる。
「女性皇族が結婚後も残るためには新たに宮家を創設するということになります。昨年、三笠宮家の当主となられた彬子さまは、これまで受け取っていた1年間の皇族費が約640万円から約1067万円に、新たに三笠宮寬仁親王妃家を創設し、当主となられた信子さまは1525万円から3050万円となりました。皇室費の出どころはもちろん税金なので、詳細な説明が求められることでしょう」(前出・皇室担当記者)
河西准教授も難しい問題だと指摘する。
「宮家創設に数千万円単位の費用がかかったとしても、信頼関係を築かれている現在の女性皇族に残っていただく形が、最も現実的ではないかと思います。一方で、旧宮家の方を養子にする場合、長年一般人だった方に突如多額の税金を投じることへの国民の理解が得られるかが問題になります」
長年、うやむやにされてきた皇室典範の議論だが、今回大きな局面を迎えようとしている。高市首相は1月23日、衆議院を解散。解散表明の会見では、皇室典範の改正に取り組むと述べた。
「高市氏は男系維持派ですが、新たに結党した中道改革連合など、他党がどのような見解を示すか。今回の選挙は、皇室の未来を国民がどう判断するかという大きな争点になるでしょう」(河西准教授、以下同)
改正の議論より先に選挙という大きな局面を迎えることとなったが、実際に改正にはどれほどの時間がかかるのか。
「本気で取り組めば、比較的短期間での改正は十分に可能です。かつて上皇さまが退位された際、もともと皇室典範に規定はありませんでしたが、特例法という形で極めてスムーズに法整備がなされ、退位が実現した前例があります。今回は典範そのものの改正であり、性質は若干異なりますが、皇室典範も一つの法律である以上、政治家たちの強い意志があれば速やかな対応ができるはずです」
投開票が行われるのは2月8日。皇室の未来を左右する国民の判断が問われるーー。
河西秀哉 名古屋大学大学院人文学研究科准教授。象徴天皇制を専門とし、『近代天皇制から象徴天皇制へ―「象徴」への道程』など著書多数