「分布拡大防止ライン」も突破 キョン生息域拡大、千葉県が対策強化

千葉県南を中心に農作物被害などを引き起こしている特定外来生物「キョン」への対応を強化するため、県が第3次の防除実施計画案を作成した。3月までに内容を詰めて正式決定し、2026年度から5年間の方針とする。生息域が北に拡大しており、これ以上の「北進」を防ぐために捕獲目標を前回計画の2倍超にすることを盛り込んだ。
キョンはシカ科の動物で「ギャー!」と鳴くのが特徴。肩までの高さは40センチ程度で大きさは中型犬に近い。中国や台湾が生息域だが、1960~80年代に勝浦市の観光施設から逃げ出して県内で繁殖したとされる。
県は生息数を抑えるため鳥獣保護管理法に基づき2000年度から捕獲を開始。09年度からは防除計画を2度策定して「完全排除」を目指した。しかし想定以上の繁殖力で、推定生息数(中央値)は06年度約1万3300頭だったが、24年度は約9万4100頭と20年弱で7倍になった。
定着する市町村も04年度の5市町から25年度の18市町に拡大している。県は21年度からの前回計画で一宮町と市原市を東西に結ぶ一帯を「分布拡大防止ライン」に設定してきたが、これも突破され、25年にはその北側の茂原市でも定着が確認された。ここ数年はさらに北の成田市や千葉市緑区でも死体が確認されている。
農作物の被害も増加しており、県はこれ以上の拡大を防ぐため、前回計画で年8500頭以上とした捕獲目標を新計画案では約2.1倍にし、年1万8000頭以上に設定した。キョンの移動を制限する柵の設置も検討し、より効果的な捕獲体制の整備を図っていくなどとしている。
新計画案は1月14日に開かれた有識者らとの会合で示された。有識者からは、茨城県など県外への拡大防止も目標に明記すべきだという声が上がった。県はこうした意見も反映して文言を一部修正し、パブリックコメント(意見公募)を実施した上で計画を3月末までに正式にまとめる。【中村聡也】