斎藤元彦兵庫県知事の疑惑告発文書問題を巡り、告発者の私的情報を県議3人に漏洩(ろうえい)したとして13日に地方公務員法違反容疑で書類送検された井ノ本知明(ちあき)元県総務部長(58)は斎藤氏の最側近として知られ、告発文書への対応の中心的な役割を担ってきた。情報漏洩については斎藤氏らの指示で行ったと説明するが、斎藤氏は否定。今後の捜査で斎藤氏の関与が認定されるかが焦点となる。
「告発文書は議会が取り扱うほどのものではない」「鋭く追及したら恥をかきますよ」
情報を見せられた県議によると、井ノ本氏が会派控室を訪れ、文書を示しながらこう訴えたのは令和6年4月中旬。同3月27日の定例会見で斎藤氏が文書は「(うそ)八百」だと主張し、告発者の男性を「公務員失格」と批判したことなどに対し、議会で問題視する声が高まっていた時期だった。
平成4年入庁の井ノ本氏は、総務省キャリアだった斎藤氏が宮城県で勤務していたころから交流があったとされる。令和3年に斎藤氏が知事に就任すると、斎藤氏肝煎りの新県政推進室の次長に抜擢(ばってき)され、県民生活部長を経て、6年4月から総務部長に就いた。
同年3月中旬に告発文書が配布されると、片山安孝副知事(当時)らとともに斎藤氏に呼ばれ、作成者の特定などを進めるよう指示を受けた。同年7月下旬に体調不良を理由に休職し、その後、総務部付に。7年5月に停職3カ月の懲戒処分を受け、9月に県競馬組合副管理者に異動した。
県の第三者委員会の聴取には当初、情報漏洩を否定したが、その後弁明書を提出。「知事や元副知事の指示に基づき、部長の職責として正当業務を行ったに過ぎない」と漏洩を認めた。斎藤氏は第三者委の聴取に「総務部長として独自の判断で議会側と情報共有したのだと思う」と関与を否定したが、片山氏や別の幹部は井ノ本氏の主張に沿う説明でほぼ一致。第三者委は、1人だけ異なる斎藤氏の説明は採用が困難と結論付けた。