自民圧勝も「#ママ戦争止めてくるわ」拡散の正体

先の衆議院選挙は自民党の圧勝に終わったが、その要因の1つとして高市早苗首相の巧みなSNS活用戦略があったと見られている。
【写真】「トレンド1位」となった《#ママ戦争止めてくるわ》一番最初の投稿
そうした中、高市首相に異議を唱えるような「#ママ戦争止めてくるわ」というX投稿がトレンド1位となり、異例とも言える動きが見られた。
なぜ、このハッシュタッグが大きな反響を集めたのだろうか? また、このような投稿は選挙、あるいは社会運動として有効なのだろうか?
“アンチ高市”の受け皿となった
高市首相は初の女性首相として、「強い日本」をアピールする姿勢で人気を集めていたが、当然のことながら支持していない層もいる。そのような人たちの受け皿となったのが、「#ママ戦争止めてくるわ」だったと言える。
自民党のみならず、多くの政党が消費税減税や物価高対策を公約に唱える中、政策面での違いが見えづらくなっていた。
高市政権が推進しようとしている憲法改正と防衛費の増強は、選挙戦では前面に出ていなかったが、「アンチ高市」の人たちや高市首相のタカ派的な政策に引っ掛かりを覚えている人たちには、少なからず反感を持たれていたのではないかと思う。
日本がすぐに戦争を始めると本気で思っている人は少ないと思うが、将来的にそうなりかねないと不安を抱いている人は一定数いて、「#ママ戦争止めてくるわ」がその不安をすくい上げたと言えるだろう。
マスメディアは「世の中ゴト」のメディア、SNSは「自分ゴト」のメディアと言われる。このハッシュタッグは「個人の投票行動が世の中を動かす」という、「自分ゴト」から出発して、社会的な行動を呼びかけるもので、その点において、SNSで自走しやすい要素を備えていた。
政策論争では届かない「漠然とした不安」を、「ママ」という日常の言葉でパッケージ化したことも、より拡散されやすい要素だっただろう。
実際、冒頭の「ママ」を、「パパ」「ばあば」など自分を示す単語に変えて、投票に行くことを報告する投稿が相次いでいた。

筆者自身、このハッシュタグがSNSで流れているのを目にはしていたが、中道改革連合のポスター写真とともにこのハッシュタグがついていた投稿だったため、同政党のキャチコピーだと当初は誤認していた。
中道の支持者が自主的に画像を加工して拡散させたようなのだが、このハッシュタグは個人起点で自走していくから意味があるのであって、中道に限らず、特定の政党のキャッチコピーのように見せてしまうと、メッセージの有効性は薄れてしまうように思える。
批判を浴びたからこそ「トレンド化」した