先の総選挙ではいわゆるリベラル勢力が壊滅的な打撃を受けた。中道改革連合、れいわ、共産、社民が大敗し、自民、参政、チームみらいが躍進した。日本のリベラルに未来はあるのか、作家の橘玲氏が分析する。
* * * 今回の総選挙は旧立憲民主党系候補者の”生存率15%”という残酷な結果に終わり、「リベラルの旗を守る」ために結党された立憲は、結果として「リベラルの旗を降ろす」ことになった。
ただ、野田佳彦代表らがすべて間違っていたとは思わない。公明党と中道改革連合を結成するにあたって、「安保法制は違憲」「原発再稼働反対」といった従来の主張を取り下げたのは、現実に向き合う姿勢として正しい。
党名からも、自民党との対決を「保守vsリベラル」の構図から「右翼vs中道」に変えなければならないとの判断が窺える。「リベラル」のままでは、もはや選挙に勝てなくなってしまったのだ。
ただ、これは戦略としては間違っていないかもしれないが、選挙戦術としては最悪のものだった。
“極右”やポピュリズムが急伸する欧米では”リベラルの限界”がさかんに議論されているが、日本のリベラルにはそれ以前の問題がある。
これまで戦後リベラルは、「憲法9条さえあれば平和が守られる」「憲法を1文字でも変えると戦争が起きる」など荒唐無稽な主張をしてきた。
国民の大多数が悲惨な戦争の記憶を持っていた1960年代までは、この主張にも一定程度のリアリティがあったが、1970年代にはすでに「うさんくさい」ものに変わっていた。それなのにその後も半世紀以上、日本のリベラルは理念に縛られ空理空論を唱え続けてきた。
中国の経済成長と軍拡によって台湾情勢が緊迫化するなか、米トランプ政権の要請もあって、日本の防衛力強化の重要性が増している。だが現在の自衛隊には軍法がなく、法に基づく民主的な統制ができないという”根本的な欠陥”がある。
それにもかかわらず「護憲」のままでは、憲法改正や法整備の議論に入れず、政府案に反対するだけだ。これでは有権者に見捨てられるのも当然だろう。日本のリベラルは底が抜けているのだ。
中道がリベラルの旗を降ろしたことで、旧立憲を支持していたリベラル層の投票行動がどう変わったかは今後の分析が待たれるが、少なくとも共産党や社民党、れいわ新選組といった左派政党に票は流れなかった。一部の若い世代はチームみらいに投票したとみられるが、反自民の受け皿は定かでない。