九州豪雨巡り、遺族の提訴相次ぐ 行政の対応、訴訟通じ検証

熊本県内で69人の死者・行方不明者を出した2020年7月の九州豪雨を巡り、遺族が行政の責任を司法の場で問う動きが続いている。適切な堤防整備などがなされていれば、大切な家族を失わずに済んだとの思いからだ。発生から5年半以上が経過した今もその爪痕が残る大規模災害で、行政の対応に問題はなかったのか。訴訟を通した検証に注目が集まる。
九州豪雨では1級河川・球磨川などが氾濫し、熊本県人吉市や球磨村で大規模な浸水被害が発生した。2024年には人吉市の住民が死亡したのは適切な堤防整備や浸水被害の周知がなかったためなどとして、遺族が県と人吉市に対し損害賠償を求め提訴。25年にも同市の夫妻が死亡したのは適切な救助がされなかったためなどとして、遺族が県などを相手取って訴訟を起こした。
18日は人吉市の夫妻に関する訴訟の第1回口頭弁論があった。訴状によると、夫妻は軽トラックで避難途中に河川の氾濫で立ち往生し、消防に救助を求めたが30分以上待っても救助されず、車両ごと流されて死亡したなどとしている。県と市は請求棄却を求めている。
審理は24年提訴の訴訟と併合することが決まり、弁護団の奥島直道弁護士は「人吉市の救助体制や避難誘導について責任を追及していきたい」と語った。
また豪雨では、特別養護老人ホーム「千寿園」(球磨村)で14人が亡くなり、1人の遺族が運営する社会福祉法人と同村の責任を問う訴訟を起こしている。千寿園を巡る訴訟は3月に第1回の口頭弁論が熊本地裁で開かれる予定。【野呂賢治】