高市首相が国民を騙し討ち…選挙公約記載なし「定額働かせ放題」を施政方針演説に突如ねじ込み

「成長のスイッチを押して、押して、押して、押して、押しまくる」
20日、衆参両院本会議の施政方針演説でこう語った高市首相。昨秋の自民党総裁選で勝利した際の「働いて働いて」と同じ調子で語り、力を込めた。経済成長の実現に意欲を示してみせたのだが、見過ごせないのは、その直前の一節だ。
「『裁量労働制』の見直し、副業・兼業に当たっての健康確保措置の導入、テレワークなどの柔軟な働き方の拡大に向けた検討を進めます」
裁量労働制とは、実際の労働時間ではなく、一定時間働いたとみなして賃金を払う仕組みのこと。みなし労働時間が1日8時間だとすると、実際に働いた時間が10時間でも8時間労働とみなされ、本来なら受け取れる2時間分の残業代を得られない可能性がある。そのため、長年「定額働かせ放題」と言われてきた。
「現在、制度が適用されているのは、研究開発や弁護士など専門性が高い20業務や、経営に関わる一部業務に限られている。安倍政権下の2018年通常国会で、政府は提出した働き方関連法案に対象拡大を盛り込むつもりでしたが、野党と世論の猛反発で断念。以後、俎上に載ることはなかったが、高市首相が再度、持ち出してきた格好です」(永田町関係者)
■ 経団連と厚労相が約19年ぶりに会談
許しがたいのは、高市首相が制度の見直しを施政方針演説に急きょ、ねじ込んできたことだ。高市自民は先の衆院選の公約で制度見直しに触れていない。つまり、国民の信を得ていないのに、勝手に「定額働かせ放題」を拡充しようとしているわけだ。厚労行政に精通した政界関係者が言う。
「高市さんは昨秋の臨時国会の所信表明で、制度について一言も触れずじまい。今年の衆院選公約では『労働時間規制について(中略)運用・制度の両面から検討を進めます』と何も言っていないに等しい文言が盛り込まれただけ。裁量労働制への反発は強いから、さすがに諦めたかな、と思っていたら急に持ち出してきた。国民を騙し討ちしたも同然ですよ。公約に入れていたら労働者の反発を受け、選挙結果は違っていたかもしれない」
高市首相の父親は設備機械メーカーの会社員で、母親は警察官。労働者に理解があっておかしくないのに「定額働かせ放題」を進めるなんて理解に苦しむ。「もはや経済界ベッタリということだ」と言うのは、ある霞が関関係者だ。
「選挙前の1月19日、経団連の求めで筒井義信会長と上野賢一郎厚労相が都内で会談。筒井さんは『裁量労働制の拡充が欠かせない』と、対象業務の拡大を求めました。経団連と厚労相の会談は実に約19年ぶりです。高市さんが施政方針演説で裁量労働制の見直しに言及したのは、こうした経団連側からのアプローチがあったからに違いない。目下、政府からの賃上げ圧力で企業の人件費は膨張。裁量労働制の拡充で残業代の支払いが減れば、企業側は万々歳というわけです」
結果的に過労死が増えた、なんてことになったらシャレにならない。
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