【特集】一時不停止やイヤホン使用で5000円…自転車の交通違反に反則金『青切符』開始へ…違反“しやすい”集団心理のワナとは

2026年4月から自転車の交通違反に、『青切符』が導入され、違反者には自動車並みの反則金が科せられることになります。悪質な行為は重大事故にもつながりますが、なぜ違反を繰り返してしまうのでしょうか。その実態と心理に迫りました。
2026年1月、神戸市中央区の街中で、自転車に乗り、信号無視をする人の姿が…。その瞬間、笛の音が鳴り響きます。
「ピピピー!(笛の音)」
(兵庫県警)
「完全に信号赤色だったでしょ」
(自転車に乗っていた人)
「あ~」
(兵庫県警)
「きょうはダメという注意で、黄色い紙を渡すだけだけど、今後は6000円払わなきゃいけなくなるので、気を付けて下さいね」
2026年4月1日から、16歳以上を対象に、自転車による交通違反に『青切符』が切られ、反則金が科されるようになります。信号無視の反則金は6000円です。
警察庁によると、自転車事故の死傷者数が最も多いのが、15~19歳で、令和2~6年の合計は、6万813人にのぼります。『青切符』制度が導入されるのを前に、兵庫県では高校生に向けて安全教育を行いました。
(高校生)
「小さいころから自転車に乗っているので、油断みたいなものがあります」
「自分なら大丈夫だろうと」
警察庁によると、全国的に自動車の事故は大きく減ってきているものの、自転車の事故は高止まり傾向にあります。
自転車に乗っている際の死亡事故や重傷事故のうち、75%は自転車側に法令違反があるといいます。実例の一つとして、自転車が交差点で信号を無視して、大型貨物車と衝突し、自転車の運転者が死亡した事故も起きています。警察は、自転車側が交通ルールを守れば悲惨な事故の防止につながった可能性があると指摘しています。
兵庫県警も『青切符』導入を前に、交通ルールの周知を進めようと、シミュレーターを使って体験会を行っています。中でも注意を呼びかけているのが、歩道でのルールです。
(体験者)
「(歩道を)あんまり走っちゃいけないという認識はあったんですけど、車道を走るのも怖いなと思いながら走っています」
『青切符』が導入されると、自転車が走行を禁止されている歩道を通行すると、反則金6000円が科されます。自転車と歩行者の衝突事故件数は、近年、増加傾向にあり、最も多く起きる場所が『歩道』です。
交通事故の分析を専門とする中島博史さんは、自転車の通行が認められている歩道でも気を付けなくてはならない、意外な落とし穴として「自転車が歩道を走る場合、車道寄りでなければ違反になり反則金を取られる」ことを挙げます。
(交通事故鑑定人・中島博史さん)
「車道に寄って走らなければいけないところを、人をよけるように左右に蛇行して走ってはいけません。歩道通行可という標識があれば、どこを走ってもいいと思っている人が結構多いです」
そして、自転車の検挙件数で一番多いのが、4割を占める『一時不停止』です。この日も取材班は自転車に乗った男性が、一時停止の標識を無視して通り過ぎてしまう場面に遭遇しました。
「ピピー!(笛の音)」
(警察官)
「自転車は止まってくださいということで声をかけたんですが、ちゃんと止まれていなかったので、注意させてもらいます」
止まることは簡単に思えますが、なぜ自転車の『一時不停止』が多いのでしょうか?
交通心理に詳しい、大阪大学の中井宏准教授によると、自転車の特性が関係しているといいます。
(大阪大学大学院 人間科学研究科・中井宏准教授)
「自転車は、ある程度スピードが乗っていると止めるのが面倒くさいと思ってしまう。何故かというと、止まると、もう一度漕ぎ出すのにエネルギーが必要だからです。歩行中よりも止まりにくいというのが、乗り物の特性としてあります。面倒くさいことが嫌な心理は誰にでも当てはまるので、なかなか止まって確認というのは難しい乗り物ですね」
ではなぜ、自動車と比べて自転車に乗っていると違反しやすいのでしょうか?街の人はー。
「車の運転免許とは違って、明確に講習を受けているわけではないと思うので…」
「青切符制度をやるのなら、それなりに分かりやすくしてほしい。こっちも危ないのはわかっているので、それなりの対応をしてほしい」
(大阪大学大学院 人間科学研究科・中井宏准教授)
「歩行者や自転車でルール違反をする人を見かけることはあると思うんです。自動車でも悪質なドライバーはいると思いますが、滅多に目にしないんです。免許がいる乗り物に比べると、自転車は目にする頻度が多いので『他の人もやっているよね』ということになる」
中井准教授は、自転車が違反する原因の一つとして『集団心理』が働くことを挙げました。
1人が赤信号を渡ると、つられてほかの人も渡りやすくなります。自転車も同じで、取材中も、後ろの自転車がつられていく様子を何度も確認しました。
(大阪大学大学院 人間科学研究科・中井宏准教授)
「実験で、ある建物の上の方を、何気なく見ている人がいると、通りがかった人が同じように上を見るんです。1人だけだとそんなにいないが、3人、5人となってくると、みんな『どうしたかな?』と見上げるのはよくあることで、誰かの行動を模倣するんです」
二人乗り3000円、並進3000円、傘さし運転5000円、無灯火5000円、一時不停止5000円、イヤホンの使用5000円、信号無視6000円、通行区分違反6000円、遮断踏切立ち入り7000円、携帯電話使用等(保持)1万2000円…。
『赤信号、みんなが渡らなければ違反は減る』…そんな効果が期待されていますが、『青切符』の導入で、模倣する人は減るのでしょうか。
(「かんさい情報ネットten.」2026年2月3日放送)