福岡県川崎町で生後11か月の長女を暴行し、死亡させた罪に問われている母親の裁判員裁判です。福岡地方裁判所は3日、「間違いなく暴行したとは言えない」として、母親に無罪判決を言い渡しました。
母親は判決後、取材に対し「死ぬまで反省、後悔する」と話しました。
傷害致死の罪に問われていたのは福岡県糸田町の無職、松本亜里沙被告(29)です。
起訴状によりますと、松本被告は2018年、福岡県川崎町の当時の自宅で、生後11か月の長女、笑乃ちゃんの頭部に暴行を加え骨折させ死亡させたとされていました。
これまでの公判で松本被告は「故意に暴行など振るっていません」と述べ、起訴内容を否認していました。その上で「笑乃ちゃんを本当に愛していました。あの日、暴力を振るったことはなかったと信じてほしい」と訴えていました。
裁判は、松本被告による暴行があったか、なかったかが争点となっていました。
検察は、笑乃ちゃんの後頭部に頭を打ちつけたことでできた皮膚の変色が3か所あり、死亡は暴行によるものだと指摘していました。
一方、弁護側は「持病のてんかんの発作で、抱いていた笑乃ちゃんを落としたなど事故の可能性がある」「頭部に強い力が加わったことを示す医学的根拠はない」として無罪を主張していました。
これに対し、検察は「通報時や捜査段階の取り調べの際にてんかんによる事故の可能性について説明していない」「暴行したことを隠そうとしていた」などとして、懲役8年を求刑していました。
3日の判決で、福岡地方裁判所の鈴嶋晋一裁判長は「てんかん発作が起きたこと自体に本人が気づいておらず、結果的に当初と違う説明をしたとしても不自然ではない」と指摘しました。
その上で「間違いなく暴行したとは言えない」として、松本被告に無罪を言い渡しました。
鈴嶋裁判長は判決の最後に、松本被告に対し「笑乃さんがあなたの動作で亡くなったことは、あなた自身がよく分かっていると思います。そのことを忘れないでください」と語りかけ、被告は「はい」と答えました。
判決後、松本被告は取材に対し「笑乃ちゃんへの思いは簡単には説明できない。責任があるのは自分が一番分かっている。死ぬまで反省、後悔する」と話しました。