栃木県那須町で2017年、部活動で登山講習会に参加していた県立大田原高の生徒ら8人が死亡した雪崩事故で、業務上過失致死傷罪に問われた当時の教諭3人に対し東京高裁は4日、いずれも禁錮2年の実刑とした1審・宇都宮地裁判決(24年5月)を破棄した。雪崩事故の予見可能性を認めて3被告全員を有罪としたものの、うち2人は刑の執行を猶予し実刑を回避した。
東京高裁判決を受けて、雪崩事故で亡くなった生徒と教諭計4人の遺族が記者会見し、一部の被告の刑の執行が猶予され「残念な判決で失望した」と憤った。
高校1年生だった長男公輝さん(当時16歳)を亡くした奥勝さん(54)は事故から間もなく9年を迎えることに「3人が過失を否定し、裁判に長い時間が費やされた。強い悔しさと理不尽さを感じている。今日を区切りにしたかったが、消化しきれていない」と涙ながらに語った。
一方で、登山経験が豊富な教諭が引率する中での事故に、部活動での安全確保がクローズアップされた。奥さんは「部活動に参加した子どもたちの命は、本来は守られるべきもの。3人の判断の誤りを司法は明確に認めた」とも述べた。
ただし、訓練開始後の過失がより重視され、被告の間で実刑か執行猶予かが分かれた。遺族側代理人の石田弘太郎弁護士は「訓練自体を中止すべきだったとの教訓につながらないのではないか」と危惧した。
栃木県高校体育連盟の大牧稔会長は「責任の重さを改めて深く受け止めている。安全対策の徹底に断固たる決意で取り組んでいく」とのコメントを出した。【安達恒太郎】