札幌市手稲区で5人が死傷したガス爆発による火災の発生から9日で1カ月となる。ガス爆発によって住宅が吹き飛び、周辺の70世帯以上に被害が出た。爆発現場近くの住民はどのような生活を強いられているのか。現場を歩いた。
3月3日の昼ごろ、手稲区西宮の沢の住宅街に向かった。宅配サービスのトラックが巡回し、自宅前で雪を片付ける住民の姿もあった。この日の札幌は気温が1度ほど。住宅の屋根からは雪解け水がポツポツと落ちていた。
道を歩いて行くと、規制線が現れ、道路上に無造作になだれ込んだ大量のがれきがあった。周辺は焦げた臭いがただよう。この場所では2月9日早朝、住宅2棟が全焼、7棟が半壊したガス爆発による火災があった。5人が死傷した。
火元になった住宅近くに行くと、建物は爆発で跡形もなく吹き飛び、建材と断熱材が散乱していた。隣の住宅も全焼し、掃き出し窓から室内が焦げた様子が目に入った。
北海道警などによると、周辺の70世帯以上に被害が出た。火元に近い住宅は窓枠をブルーシートで覆っていた。爆発の衝撃でガラスが割れ、吹き飛んだとみられる。
近くで自宅の雪かきをしていた50代男性は、爆風で「家がゆがんだ」と話す。一見すると大きな損傷はないが、玄関の引き戸は数センチほど開いたままだった。話を聞くと、室内もやや傾き、引き戸を閉めても勝手に開いてしまうそうだ。2階は全ての窓が開け閉めしにくくなったという。
小学5年の息子はショックを受け、数日間は学校に通えなくなった。火元で亡くなった住民の風間みち子さん(62)は毎朝、登校時に声をかけてくれていた。風間さんの家が燃える光景も見た。
「ガスは怖い。雪が解けたら、IHコンロに切り替える工事をする」。男性はこう話した。爆発の恐怖は住民に不安を植え付けていると感じた。
不安を話す住民は他にもいた。妻と2人暮らしの米浜司さん(86)は現場近くに35年ほど住む。自宅のガス設備の耐用期限が切れているという。事故後、北海道ガスの子会社でこの地域にガスを供給している北ガスジェネックスが2回点検をして問題はなかったと説明を受けたが、「怖いから取り換えてと言っている」と話した。
別の住宅の近くに行くと、北ガスジェネックス関係者が訪問していた。住民の男性(70)が自宅の被害状況を説明していた。
この住宅は1階の壁と天井の間に2センチほどの隙間(すきま)ができたそうだ。男性は「地震があったら危ない」と案じ、補償について北ガスジェネックスと相談しているが、詳細は未定らしい。
北ガスジェネックスによると、火元の住宅のガス管には直径約2ミリの穴があり、2022年の点検で腐食の兆候を確認したが、対処していなかった。
札幌は寒さが続いている。ガスは生活に欠かせないインフラにもかかわらず、突然被害を受けた住民らには不安が広がっていた。両社は住民の要望に応じ、信頼回復に努めるべきだ。こう考えながら現場を後にした。【和田幸栞】