推定300トン超の浮力、高さ13mまで鋼管押し上げたか 地下の水圧差と軟弱地盤が影響

大阪市の繁華街キタで11日、地下に埋められた円柱状の鋼管が高さ約13メートルまでせり上がった。大阪市の説明によると、地下約20メートルを超え、異例といえるほどの深部で行われた工事に伴う地下水圧と、現場の地盤の緩さが原因となった可能性がある。地中に水道やガスなどのインフラが集積する都市部特有の事情が影響した。
アスファルトを突き破った鋼管が新御堂筋の高架道路に迫っていた。近くの男性医師(24)は「道路の陥没はニュースで聞くが、隆起はなかなかない。またどこかで起きてもおかしくないので不安だ」と漏らした。
異例の深部で工事
事故を受け、記者会見した大阪市建設局の担当者は「多くの市民に大変なご迷惑をおかけする事態となり、深くおわび申し上げます」と陳謝し、経緯などを説明した。
現場の梅田地区一帯は海抜が低く、軟弱地盤で知られるエリア。今回の事故は、浸水対策で既存の下水管(地下約3メートル)より24メートルほど深い位置に新たな下水管を敷設する工事の最中に起きた。
説明によると、2本の下水管を接続するために垂直方向に円柱状の鋼管(長さ約27メートル)を打ち込み、鋼管下部をコンクリートで固めて地下水が入るのを防ぐ仕組み。打ち込む過程で鋼管内部は地下水で満たされ、9日から11日未明にかけて排水作業が行われた。
ほか2カ所で緊急点検
11日午前6時ごろ、鋼管が約2メートル隆起しているのを交通誘導員が発見。短時間でせり上がり、警察などへの通報が遅れれば大惨事に至る恐れがあった。市の担当者は「緩い地盤で地下水もある。水を抜いたからバランスが崩れて地下水圧で浮くことは物理的にあり得るが、(原因が)そこだけかどうかは今後の調査になる」と話した。
都市部では地下に鉄道やガス、水道といった社会インフラが集積する。市の担当者は「地下10メートル程度の工事ならよくあるが、今回はかなり深い」と指摘。市内では他に東成区の2カ所で同様の工事が行われており、緊急点検する方針。
横山英幸市長は11日、「地下鉄や地下構造物がある都市部では、深部で工事をしなければいけない。必要な社会インフラで、これまで以上に慎重に設計や施工を進めていく」と述べた。
液状化に似た状態発生か
土木工事に詳しい近畿大理工学部の米田昌弘名誉教授の話
今回の事故は初めて見るケースだ。原因として考えられるのは浮力だろう。災害時の液状化現象と似たような状態になり、地下水中で鋼管が浮き、とてつもない浮力が作用したのだろう。鋼管内部の水を抜いたことで内外の水圧差が大きくなり、強い浮力が働いたと考えられる。鋼管の重量などを考慮しても浮力は200~300トン以上と推定される。死傷者が出なかったのは不幸中の幸いだ。(入沢亮輔、倉持亮)