いじめ「重大事態」認定せず…第三者委が学校側の対応を批判 和歌山

和歌山県の海南市立小学校の女子児童(当時)がいじめを理由に登校できなくなったとして保護者が適切な対応を求めていた問題で、市教委が設置した第三者委員会は14日、いじめと不登校との因果関係を認めた上で、いじめ防止対策推進法で定める「重大事態」に認定すべきだったとする調査報告書を発表した。市教委が現在まで重大事態と認定していないことに対し、報告書は「不適切かつ誤った判断と言わざるを得ない」と指摘した。【安西李姫、恒成晃徳】
第三者委は弁護士や医師、教育専門家ら5人で構成。2023年8月~26年3月に計66回の会合を開き、学校や市教委の対応、いじめ行為の事実関係などについて、聞き取りを含めて調査した。
報告書では、ランドセルから携帯電話を取り出されて触られた▽「ミッション」と称する遊びで用水路に下りるよう指示された▽田んぼに入るよう指示された――など、1年時に同じ同級生から受けた行為が「いじめに該当する」と判断。児童は連絡帳などでトラブルを訴えたが、2年時の5月に加害児童と一緒にいる場で教員から「仲良くするように」と強い指導を受け「教員への信頼を失ったことで、不登校という結果が発生したと考えられる」と指摘した。
また女子児童側がいじめを訴えた後、5年以上が経過した後に今回の第三者委が設置されて調査が始まったことにも触れ、「記憶が曖昧であると回答する者が多かった。仮にもっと早く調査を開始していれば、より多くの事実が明らかになったであろう」とし、「早期に重大事態認定を行わなかったことは、大きな問題であったと指摘せざるを得ない」と学校と市教委の対応を批判した。
海南市内で市教委に答申後、記者会見した委員長の澤田裕和弁護士は「市教委が重大事態だと認めないことにがくぜんとしており残念」と述べ、「いじめ防止対策推進法とガイドラインをきちんと理解し、現場に浸透させることが全てだ」と再発防止を求めた。
女児、現在も苦しみの中に
女子児童は小学校を卒業した現在もいじめ行為などを思い出すフラッシュバックに苦しみ、医師のカウンセリングを受けているという。会見を傍聴した保護者を通じて「私の小学校時代は何もなかった。行事にも参加できなくて思い出が全くない」との本人のコメントが報道陣に配られ、保護者は「重大事態といまだに認めていないことが信じられない。娘は本当に苦しんでおり、同じような被害や苦しむ子どもが再び出ないようにしてほしい」と語った。
市教委の西原孝幸教育長は「調査結果を真摯(しんし)に受け止め、調査報告書の内容を慎重に精査し、今後の対応について検討する」とのコメントを出した。